2018年12月04日

夢のマッチラベル

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ここは中外燐寸社(ちゅうがいまっちしゃ)が経営する駐車場、中外パーキング(岡山市北区錦町)。その囲いに、同社が販売しているマッチのラベル絵が描かれている。

中外燐寸社の創業は明治23年。現存する国内のマッチ製造メーカーの中では最古の会社だ。

トレードマークの「太鼓獅子」は、創業者の妻が夢で見たイメージを図案化したものだという。なにか由緒のあるマークなのかと思っていたら、夢だったとは。つまりこの絵にはまったく意味がないのだ。

企業のロゴマークにも商品デザインにも意味や理屈が込められる現代社会の中で、この無意味さが、なんだか清々しい。


実際のマッチラベルはこちらをご覧ください。
「太鼓獅子マッチの歴史」
http://www.chugai-match.co.jp/taikoshishi.html





タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 22:56| 都市鑑賞

2018年12月03日

【ピクトさんサコッシュ】完全受注生産

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サコッシュが流行ってますね。流行りに乗って、ということもあるんですが、私自身、こういうたすき掛けの小さいバッグがほしいので、つくることにしました。キャンバス生地です。色はナチュラルとブラックの2種。

1回限りの完全受注生産です。再生産はしません。

ご注文はこちらからどうぞ。受付〆切りは2018年12月16日23時です。
【ピクトさんサコッシュ】
http://mon.cifaka.jp/?pid=137646774


これを提げてピクトさんと一緒に街歩きするぞー。

あ、あとこれにピクトさん缶バッジをつけると、さらに楽しくなると思います。

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タグ:ピクトさん
posted by pictist at 20:58| ピクトさん

2018年11月26日

喜多村病院(大正11年開業)を見学したよ

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岡山市北区野田屋町に喜多村病院という医院があります。地元の方なら「小便小僧があるところ」と言えばピンとくるかもしれません。大正11年(1922年)に喜多村練三氏がこの場所に開業。90年以上の歴史を持つ医院です。この小便小僧も開業時から立っているもの。

喜多村病院は、岡山で最初に「小児科」を掲げた医院なのだそうです。それで小便小僧があるんですね。小児科のサインとしてつくったのでしょう。現在は小児科ではなくお年寄りの入院介護・治療が主になっているようです。

建物は昭和20年の岡山大空襲で焼けてしまいましたが、小便小僧は難を逃れ、今も玄関先に立ち続けています。また、確認はできなかったのですが、煉瓦造りの台座部分もおそらく空襲を免れたものなのではないでしょうか。

戦後に建て直したとはいえ、すでに築70年以上経つレトロ病棟。貴重です。中を見てみたいなーと思っていたところ、このたび喜多村病院さんのご厚意で院内を見学させていただくことができました。

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左側に少し見えているのが新館。小便小僧のあるほうが旧館。現役です。

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受付前のガラス窓には手書き文字が。職人技です。

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処置室

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検査室

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階段を登ると……

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1階と2階の間の踊り場が休憩場所になってるんです。佇まいがかわいい。

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踊り場

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真鍮の手すりがいい感じの経年光沢を帯びています(今つくった造語です。経年光沢)。

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暗室。昔はここでレントゲン写真を現像してたんですね。

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暗室の入口。小窓がついてます。

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ここは2階。右下に見えているのが先ほどの暗室。そしてこの階段の上にあるのはトイレなのです。半階上がるようになっているという。ちょっと珍しい構造ですよね。1階にあるトイレは逆に、地下へ半階下がる構造でつくられていました。

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清浄室=W.C

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號。院内のいたるところに旧字が残っています。

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木窓もだんだん少なくなってますね。

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配管をむき出していくスタイル。

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喜多村病院さん、見学のお願いを快く受けてくださり、どうもありがとうございました。

考えたらあと3年ほどで開業100周年ですね。つまり小便小僧も100歳になるわけです。小僧なのに100歳。100歳なのに小僧。お祝いしましょう、2022年に。




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posted by pictist at 12:51| 都市鑑賞

『生活考察』vol.6に寄稿しました

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『生活考察』が約5年の沈黙を破って復活しました。創刊号からずっと書かせてもらっているのですが、今回も寄稿しています。
タイトルは「ちいさい季節」。ツイッターで募った「人それぞれの、多様な季節感」をまとめました。春・夏・秋・冬と集まった中から、今回は「秋」篇を紹介しています。あなたの知らない秋が、きっとあるはず。


「生活考察」Vol.06

話題の書き手たちの生活エッセイを多数収録し、読書界の注目を集めた“ある種の”ライフスタイル・マガジンが、約5年の沈黙を破り「タバブックス」より復活します。ともすれば、あっさりと取りこぼしてしまう、ささやかな生活の断片。そこから導き出される「考えようによっては得るところがある」かもしれぬ<何か>ーー。「生活」を想像力で照射する雑誌、それが「生活考察」です。

編 辻本力
デザイン 内川たくや
発行 タバブックス
定価  本体1000円+税 
A5判・128ページ 
ISBN978-4-907053-29-1
発売 2018年11月27日

<寄稿>
浅見北斗(Have a Nice Day!) 「バビロンとファックしよう’18」
内海慶一(文筆家/都市鑑賞者) 「ちいさい季節」
海猫沢めろん(小説家) めんどくさいしどうでもいい 第6回「テロ」
円城塔(小説家) かきものぐらし 第6回
王谷晶(小説家) 「未来世紀豚汁」
大谷能生(音楽家) ディファレント・ミュージックス 第6回「レコードを洗う」
太田靖久(小説家) 「『犬の看板』探訪記 《茨城犬篇》」
岡崎武志(ライター) 「油絵を描くと生活は」
小澤英実(文学者) 「あたし、この戦争が終わったら……」 第6回「ぼくらが旅に出る理由」
春日武彦(精神科医) 文章秘宝館 第1回「赤い四角形」
岸本佐知子(翻訳家) もにょもにょ日記 第1回
栗原裕一郎(批評家) おまえはベイビー 第1回
古谷田奈月(小説家) 「生活に適した想像」
佐々木敦(批評家) 普段の生活 第6回「旅する普段の生活ふたたび」
須藤輝(ライター) カラダのこと 第3回
辻本力(『生活考察』編集発行人) 「悩ましきバナナ」
林哲夫(画家/古本ライター) 好きなことだけして暮らしたい 第6回
速水健朗(ライター) 都市生活者のためのアーバン・ミュージック・ガイド 第5回
panpanya(漫画家) 「街路樹の世界」
福永信(小説家) 日付と時間のある文章 第6回「年譜のある文章」
藤原麻里菜 (文筆家/映像作家) 「記憶と思考ぶつかり『無駄』が生まれる」
butaji(音楽家) 「告白の作り方」

<鼎談>
春日武彦(精神科医)×穂村弘(歌人)×海猫沢めろん(小説家)
「僕らは大人になれたのか?ーーこれからの“成熟”考」
 生き方が多様化し、「大人」の在り方も、今と昔とでは様変わりしているように感じられる現在。 この時代に「大人になる」「成熟する」とは、果たしてどういうことなのか? 悩める精神科医、社会的常識への違和感を綴る歌人、新時代のイクメン小説『キッズファイヤー・ドットコム』の著者が、それぞれの視点から、現代における「大人像」に迫ります。

<ルポ&対談>
柴崎友香(小説家)×滝口悠生(小説家)
「散歩と文学ーー歩くこと、考えること、そして書くこと」
「歩く」描写の多い小説家は、自身が歩く時、その土地の何に着目し、どんなことを考えるのか? 人気作家2人が実際に散歩する過程を追ったドキュメント。「歩く」ことと小説との関係を考える対談も読み応えたっぷりです。





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posted by pictist at 08:05| 執筆

2018年10月26日

後ろ向きな絵手紙をつくったよ(今さら)

もう5年以上前のことになりますが、ふと思いついてこんなツイートをしました。



この企画は怒濤の勢いで拡散していき、みなさんが続々と「後ろ向きな絵手紙」作品をつくり、アップしてくれました。トゥギャッターまとめも25万viewを超えて2013年の「傑作トゥギャッターまとめランキングベスト30」っていうやつにランクインしたり。

でも言い出しっぺの私自身は結局、形にせずじまいだったんですね。言葉はつくれるけど絵が描けないので。

そんなとき、イラストレーターのオオスキトモコさんと「じゃあ一丁、一緒につくってみますか」という話になったのです。

私が言葉をつくり、オオスキさんが絵と文字を描く。そういう共作です。

という話になったのはいいけど、そこからが長かった。たまにDMで打ち合わせをし、インターバル期間に入り、また久しぶりにDMするというスローペース。

どうですか、私たち2人の後ろ向きっぷり。どんだけ時間かけてるんだっていう。いや、完成したっていうことは、まあまあ前向きなんじゃないか。

そして季節が何度も巡り…ついに一枚、完成したよ!


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「秋も なまける」

オオスキさん、ふだん描いているご自身の絵のトーンから離れ、「絵手紙風」をしっかり研究して寄せてきているところが素晴らしいです。

ちなみにこの落款は2人の共作印としてつくったオリジナル。

あれ? これなんの字だっけ……自分で考えたのに月日が経ちすぎて忘れた!

残り3つの季節も、つくれたらつくります。つくれたらね……




posted by pictist at 23:45| あれこれ

2018年10月11日

『団地の給水塔大図鑑』

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小山祐之(こやま・ゆうし/日本給水党党首UC)さんが、シカク出版より『団地の給水塔大図鑑』を上梓されました。オールカラー224ページ。僭越ながら裏帯にコメントを書かせていただいてます。こんな素敵な本に書かせてもらえて光栄です。

本書は「団地にある給水塔」だけを400基超も収録した本。著者は10年以上にわたって全国各地の団地の給水塔を撮り歩いている、筋金入りの給水塔鑑賞者です。

一瞬「筋金入りの給水塔」みたいに見えたけど、著者のことです。筋金入りというのは。とはいえ実際、給水塔にも筋金って入ってるよね。コンクリートだったら。

なんの話だっけ。とにかく祐之さんがすごいということを言いたい。すごいというか、どうかしてるわけです。掲載しているのは400基超だけど、実際には660基の給水塔を訪れている。そして掲載されている写真を見てもらうと分かりますが、すべて青空をバックに撮影している。晴天を狙って撮ってるわけです。「曇り空だと給水塔が寂しそうに見えるから」と。ベッヒャーは曇天だが小山祐之は晴天なのである。

これ、近所ならいいよ。何度でも通えるし。でも泊まりがけで遠方の給水塔を撮りに行って、曇り空だったらどうする。雨模様だったらどうする。さあどうする。

祐之さんは出直すわけです。次の機会を待って、もう一度出かけるわけです。会社勤めをしながら。土日を使って。気が遠くなりませんか。

たとえば沖縄の給水塔には計3回行ったそうです(祐之さんは大阪在住)。観光旅行に3回行ったんじゃないですよ。「沖縄県営古謝団地」の給水塔を撮るためだけに3回行ったのです。1回目と2回目は曇ってしまったのだ。気が遠くなりませんか。

さらに。単に晴れていればいいというわけではなく、その給水塔を撮影したい方向に向いて、順光であることが条件。逆光で晴れていても意味がないわけです。だから撮影可能な時間帯が限られている。気が遠くなりませんか。

そんな鑑賞&撮影行脚の集大成が、この『団地の給水塔大図鑑』なのです。ザ・偉業。ジ・偉業か。

本書では給水塔の形状をボックス型、とっくり型、円盤型、やぐら型など12タイプに分類し、それぞれに解説を付しています。登れる給水塔、くぐれる給水塔、すべり台付きの給水塔、イルミネーション給水塔など、珍しい給水塔の紹介もあり。

こんなにたくさんの給水塔を、私たちは今日から、部屋にいながら鑑賞することができるのです。煎れたてのおいしい珈琲をいただきながら鑑賞することができるのです。ありがとうありがとう(藤岡弘、風に)。

もちろん実物を見に行くためのガイドブックとしても機能する本です。掲載しているすべての給水塔の(団地の)所在地を記載。これうっかり当たり前に受け止めてしまいそうになるけど、すごいよ。こんなデータベース今までなかったわけで。

団地の給水塔は現在では使われていないものが多く、年々減り続けています。本書に載っている給水塔にも、すでに解体されているものが多くあります(各給水塔が現存しているかどうかも記載されています。※2018年10月現在)。みんな今のうちに生鑑賞しておこう。

給水塔ファンにとっては本意ではないだろうけど、本書は、月日の経過と共にどんどん貴重になっていくはず。そして未来の誰かがある日、本書を見つけてこう言うでしょう。「よくぞ写真に撮っておいてくれた、ありがとう」と。



『団地の給水塔大図鑑』
小山祐之(日本給水党党首UC)
定価 2500円+税
224ページ・オールカラー
シカク出版
2018年10月6日初版
ISBN978-4-909004-75-8

通販ページ
http://shikaku.ocnk.net/product/1986

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タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 03:21| レビュー

2018年08月02日

「金沢民景」的視点はどこででも実践できる

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前回からの続きです。書いてるうちにどんどん長くなって3回になりました。

もう一つ、山本さんのお話の中で印象に残ったのは「街はいつも成長過程にある」という言葉でした。街の住人たちは、地形や気候などに合わせて住空間をつくり、それを日々アレンジしながら暮らしている。その繰り返しで街は変化し続けています。

「そうした細やかな変化が積み重なり、集積して、やがて『その街らしさ』になってゆくのだろう」と山本さんは言います。

そう、金沢民景を読んでいると、「街は変わり続けている」という、よく知っているはずの事実にあらためて思い到ります。また、街の風景は誰か一人の人間によって計画されているわけではないのだということも、再認識させられます。行政や大資本がつくる大きな街並みがある一方で、住民が下から積み上げる生活サイズの街並みもある。

山本さんたちは、街の「今」が、なぜそのような姿になっているのかを知りたい。解き明かしたい。そのためには住人へのインタビューが不可欠というわけなんですね。このような街の見方・アプローチの仕方を、山本さんは「民景的視点」と言ってました。

この視点こそが金沢民景の最大の価値なのではないでしょうか。民景的視点は全国どこででも実践することができるはずです。金沢民景を読んで金沢に興味を持つ人が増えたり、あるいは金沢市民が自分たちの住む街を見直すきっかけになれば、それはもちろん素敵なことです。しかしそれとは別に、ここから「民景的視点」を学んだ人は、今度はその目線で自分の住む街を見ることができる。それはとても意味のあることだと思うのです。

山本さんたちも、最初から住人インタビューをしていたわけではないそう。でも街で気になったものを撮っていると、どうしても「これってどうしてこうなってるんだろう」と知りたくなってくる。そこでインターホンを押し始めたと。この勇気を出せるかどうかが、民景的視点を獲得するための第一歩かもしれませんね(私は苦手…(*_*))。

あと細かな感想で言うと、「金沢民景」は部材や様式の正式名称をきちんと表記しているところがいいですね。なんか得した気分になります。その点について聞いたら、やはり職業柄もあって、自然とそうしてしまうそうで。名称を確認しながら書いているとのことでした。

金沢民景には現在15名ほどのメンバーがおられるようです。みなさまの活動をこれからも応援しています。次号11号もできあがりつつあるとのこと。楽しみだー。

山本さん、お話を聞かせていただきありがとうございました。




posted by pictist at 00:08| レビュー