11月27日、岡山芸術交流2022が閉幕しました。今年の夏頃、このイベントに制作スタッフとして参加の依頼をいただいたのですが、辞退しました。
岡山芸術交流には、第1回の2016年、第2回の2019年と、これまでに2度「パブリックプログラム」の仕事で参加しています。今回もその流れでお誘いいただき、私としてもできれば引き受けたかったのですが、どうしてもこのイベントに関わる気持ちになれなかったのでお断りしました。
理由は、2020年にセクシャル・ハラスメント報道でストライプインターナショナルの社長を辞任した石川康晴氏が総合プロデューサーとして参加していたからです。石川氏は報道をきっかけに内閣府の男女共同参画会議の議員も辞職しています。
朝日新聞は「石川氏が地方視察した際、女性の店舗スタッフを朝にホテルに呼び出し、本人の同意がないままわいせつな行為に及んだ」と報じています(2020年3月4日)。
石川氏は「複数の女性社員に不適切な行為をしたと疑われるやり取りがあった」として、ストライプインターナショナル社の査問会で厳重注意処分を受けています(日本経済新聞2020年3月6日)。
私は2016年の第1回目のときに「岡山芸術交流オルタナティブマップ」を企画・制作(共作)しました。街角の看板や建物など、岡山市街地にあるさまざまなモノを「作品」として鑑賞するという主旨の、街歩きマップ(パンフレット)です。3部作、全90スポットを紹介しています。
岡山でずっと都市鑑賞活動をしてきた者として、自慢できる作品をつくることができたと今でも思っています。
また、2019年の第2回では、オルタナティブマップを発展させる形で「みんなで見つける おかやま街角鑑賞」というイベントを開催しました。多くの方にご参加いただき、交流することができました。有意義なイベントになったと思います。
今回、過去2回にわたって一緒に仕事をしてきた仲間や、お世話になった関係者の方々と別れるのはとてもつらい選択でした(個別の連絡は続けています)。
また、弱小フリーランサーとして生きている自分にとっては、シンプルに仕事を失うという点でも苦しい選択でした。今後のことを考えても、引き受けたほうが得だったかもしれません。
でも人にはそれぞれ、生理的に無理なことがあります。もし辞退しなかったら、自分はこの先ずっと後悔し続けるだろうと思いました。
以上を、ここに記録として書き残しておきます。
私たちの社会では、昔も今も女性という属性は抑圧され、虐げられています。ましてやそこに権力の勾配が加わったとき、個々の女性が圧倒的に不利な立場に置かれることは明白です。
私は男性なので、生まれたときから有利な側(加害側の属性)にいる人間として、自分の環境を当たり前のものとせず、この現実について真摯に考え続けなければならないと思っています。
本件で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
2022年12月30日 内海慶一
posted by pictist at 12:09|
あれこれ