2021年06月29日

『シュロ2』に寄稿しました

IMG_2403.jpg

日日さん(@___h_i_b_i___ )と温田庭子さん(@pyonnurila )のお二人が2018年に制作した冊子『写真とまんが シュロ』に続く第二弾、『写真とまんがと文 シュロ2』ができあがりました。今回、お声がけいただいて私も寄稿しています。タイトルは「棕櫚俳句を鑑賞する」。俳句素人の私が、無謀にも俳句の鑑賞文を書きました。

IMG_2400.jpg

棕櫚のことをいろいろ調べてるうちに、ある日「棕櫚の花」が季語だということを知ったんです。それから棕櫚俳句を探してコレクションしてたんですが、『シュロ2』というきっかけをもらったので、鑑賞してみることにしました。俳句の評論はできないけど、棕櫚俳句についてなら、棕櫚鑑賞者の立場からなにか書けるんじゃないかなと思ったのです。

取り上げた棕櫚俳句は以下の20句。カッコ内は出典です。

椶櫚の花梯子とどかぬ高さかな 正岡子規
(『季語別 子規俳句集』松山市立子規記念博物館、1984年)

梯子継ぎ危く棕梠を剥ぎゐたり 兼巻旦流子
(『新歳時記』河出書房新社、2015年)

つつましき高さに垂れて棕櫚の花 鷹羽狩行
(『季語別 鷹羽狩行句集』ふらんす堂、2001年/『十一面』立風書房、1995年)

棕梠高く剥ぎて北窓塞ぎけり 村山葵郷
(『春暁』東炎山房、1944年)

棕櫚剥ぎて棕櫚の高さの残りけり 稲畑汀子
(『ホトトギス新歳時記』(第三版)三省堂、2010年)

村落に洋館ありて椶櫚の花 正岡子規
(『季語別 子規俳句集』松山市立子規記念博物館、1984年)

花棕梠や園丁つとに夏帽子 篠原鳳作
(『篠原鳳作全句文集』沖積舎、1980年)

棕櫚の花とつとと牛の寄つてくる 飯島晴子
(『飯島晴子全句集』富士見書房、2002年)

山畑や椶櫚の根もとの曼珠沙華 河野静雲
(『増補 現代俳句大系 第4巻』角川書店、1981年/『閻魔』1940年)

谿ふかく棲める木魂や棕梠の花 木下夕爾
(『花の歳時記』講談社、2004年)

棕櫚の花港の風も忘れじよ 中村汀女
(『中村汀女全句集』毎日新聞社、2002年)

棕櫚の花海に夕ベの疲れあり 福永耕二
(『角川俳句大歳時記』角川学芸出版、2006年)

花棕梠に海の入日の濃かりけり 丸山哲郎
(『俳句歳時記』(新装第二版)平凡社、2012年)

棕櫚の花沖より来たる通り雨 皆川盤水
(『草木花歳時記』朝日新聞社、1999年)

棕梠の花真昼の雲が海に湧く 山田佐人
(『新歳時記』河出書房新社、2015年)

海の上まで何もなき棕梠の花 和知喜八
(『和知喜八全句集』紅書房、2013年)

村中にひよつと寺あり椶櫚の花 也有
(『蘿葉集』、1782年)
【お詫びと訂正】この句の「村中」を、本誌で「山中」と誤記してしまいました。お詫びして訂正いたします。

古寺に皮むく椶櫚の寒げなり 鬼貫
(『角川俳句大歳時記』角川学芸出版、2006年/『大悟物狂』1690年)

古寺や僧なまめかす椶櫚の花 三園
(『日本俳書大系 第2巻』春秋社、1934年/『続虚栗』1687年)

棕櫚咲いてシャツ・パンツ・ココロよく乾く 池田澄子
(『たましいの話』角川書店、2005年)

今回取り上げた作品以外にもたくさん棕櫚俳句を発見してるので、いつか続編も書いてみたいと思っています。

「棕櫚俳句を鑑賞する」は6ページの小文なので、脇役です。『シュロ2』は全62ページの読み応え。発行人である日日さんが撮影したすてきなシュロ写真たちと、「ぴょんぬりら」こと温田庭子さんのシュロ漫画「シュロのくに」をぜひご堪能ください。

IMG_2401.jpg

あと、いろんな人が撮ったシュロ写真を紹介する「みんなのシュロ」コーナーもあります。シュロ仲間が増えてうれしい。

『写真とまんがと文 シュロ2』
著者:日日、温田庭子、内海慶一
発行:パルム書房
初版:2021年6月25日
判型:B6判(62ページ)
価格:1100円(税込)


取り扱い店は追って告知しますが、まずは下記イベントで先行販売しています。名古屋の方、ぜひ。

「港まちアートブックフェア2021」
2021年6月29日(火)–8月14日(土)
11時–19時
休廊日:日曜・月曜・祝日
会場:港まちポットラックビル3F(名古屋市港区名港1-19-23)
入場無料
企画|Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
主催|港まちづくり協議会

IMG_2407.jpg

【追記】
大阪のシカクさんで取扱いがスタートしました!
下記オンラインショップから通販可能です。
シカク オンラインショップ|パルム書房「写真とまんがと文 シュロ2」

【追記2】
東京・中野のタコシェさんでも取扱いがスタートしました!
タコシェ オンラインショップ|パルム書房「写真とまんがと文 シュロ2」

【追記3】
東京・下北沢のB&Bさん、京都のVOU / 棒さんでも取扱いがスタートしました!


posted by pictist at 10:27| 執筆

2020年12月06日

『おすすめ文庫王国2021』に寄稿しました

おすすめ文庫王国2021.jpg

『本の雑誌』が年に1度刊行している増刊号『おすすめ文庫王国』の今年度版、『おすすめ文庫王国2021』に寄稿しました。

「路上の文庫、または都市を鑑賞する文庫」と題した読書エッセイです。よく知っている日常を新しい視点で捉え直す「ソトの眼」の話を軸にして、これまでに僕が影響を受けた本の中から現在も入手可能な文庫本5冊を選んで紹介しています。

ここで取り上げた本を読んだことのある方もいると思いますが、既読の方も「この作品にはそんな一面もあったのか」と新鮮に感じてもらえるといいな、と思いながら書きました。

【版元ページ】
WEB本の雑誌> 本の雑誌社 > 本の雑誌社の最新刊 > おすすめ文庫王国2021

『おすすめ文庫王国2021』(本の雑誌社)
880円(税込)
2020年12月7日発売
ISBN-10 : 4860114523
ISBN-13 : 978-4860114527





タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 19:07| 執筆

2020年07月30日

『街角図鑑 街と境界編』に寄稿しました

『街角図鑑』の続編、『街角図鑑 街と境界編』がそろそろ書店に並ぶようです。僕は前回「装飾テント」を寄稿しましたが、今回は「玄関灯」を寄稿しました。企画者の三土たつおさんを始め、15名の都市鑑賞者たちが写真と文章を寄せています。

街角図鑑_書影.jpg

見本誌が届いたのでさっそく読んでますが、どのページにも「街で見たことあるもの」が載っていて、どのページにも今まで知らなかったことが書いてある。やっぱり面白い。

以下が目次です。カッコ内がその章の執筆者で、それ以外は三土さんの執筆となります(編集担当の磯部さんも「橋」を執筆)。

【街にあるもの】
配管
足場(小金井美和子)
玄関灯(内海慶一)
エアコン室外機(斎藤公輔)
ガスメーター
電気メーター
給水塔(小山祐之)
商店街
神社
路上園芸(村田あやこ)
残余地(島野翔)

【私たちを取り囲んでいるもの】
道路・歩道・通行帯
交差点
坂道
階段
歩道橋
踏切
高架橋脚(田村美葉)
見える地下(小金井美和子)
公園を観察する(石川初)
公園遊具
東屋(高橋英樹)
公園遊具
パーキングスケープ(八馬智)
駐車場

【街と街の間にあるもの】
川そのものと周辺のいろいろ
ダム(萩原雅紀)
田んぼ


トンネル
鉄塔(加賀谷奏子)
都市鑑賞とは何か(大山顕)

僕がこのシリーズをいいなと思うのは、「図鑑」を名乗りながら、専門家ではなく「鑑賞者」がメインで参加しているところ。各分野の「中の人」とか研究者に執筆を依頼するという選択肢もあるはずだけど、主に「それをずっと見ている人」が執筆しているのです。

鑑賞者側からの目線でつくられていることが、本書をユニークなものにしている。そしてあらためて驚くのは、それを成立させる各ジャンルの鑑賞者がいるということです。よく考えたらすごい。

IMG_9640.jpg

IMG_9643.jpg

IMG_9641.jpg

IMG_9638.jpg

ところで、本書の最終章に大山顕が「都市鑑賞とは何か」という文章を寄せています。とても大切なことを言ってると思うので、少し紹介します。

以下、僕なりにパラフレーズしてみました(パラフレーズって一回言ってみたかった)。大山さんはだいたいこんな感じのことを言ってます。



よく「独自の視点」という言葉で、さもそのような「能力」が存在するかのような言い方をする人がいるが、そんなものはない。都市鑑賞者の「視点」は、見るという「行為」と一体なのであって、「視点」のみが先行して備わっているわけではない。

対象を見るという「行為」が、自己にフィードバックして「独自の視点」を得るということは、あるだろう。しかしそれは「見た」から得られたのだ。見るという「行為」が「視点」に影響を与え、影響を受けた「視点」が今度は「行為」に影響を与える。その往復こそが重要なのであって、二つを切り離して考えることは無意味だ。



適切に要約・言い換えができているかどうか分からないけど、上記のような主張が核になっているはずです。たぶん。

また、大山さんは、「実行」こそが価値なのであり、見る「理由」なんてどうでもいいことなのだと言います。

次に、「都市鑑賞とは何か」から文章の一部をそのまま引用します。

《「独自」なんてくだらない。それは幻想だ。そんなものは必要がない。世界中の人が工場を団地を見て回るべきだと思う。鉄道趣味が素晴らしいのは、多くの人が参加しているからだ。》

《「アイディア」も「視点」も架空のもので、あったとしてもそれは誰かからの借り物だ。》

《動機やきっかけなど大したものではない。重要なのは鑑賞を続ける、ということだけだ。》

そう、見続けること。僕も「見続けた人だけが体験できる世界」があると思っています。『街角図鑑』に興味を持ったら、次はあなたもぜひ、何かをしつこく見続けてみてください。対象はなんでもいいんです。都市鑑賞って、面白いよ。

あ、正確に言うと「面白くなる」よ。見てるうちに。


『街角図鑑 街と境界編』
三土たつお 編
実業之日本社
四六判160ページ
2020年8月3日発売
本体価格 1700円+税
ISBN 978-4-408-33941-2




posted by pictist at 00:13| 執筆

2020年07月28日

10年ぶりの100均フリーダム

久しぶりに100均でフリーダム商品に出会ったので、鑑賞文を書きました。自由は死せず。

IMG_9631.jpg

見る向きはこれで正しいのか。まずそう思ったが、これで合っているようだ。商品名は「ぶら下がりザウルス」。恐竜のキャラクターらしい。手足の関係が、にわかには把握しづらい。一番下に突きだしている大きな膨らみはなんなのか。しっぽなのか。
ここには、曖昧さの肯定がある。漠然としてたっていい。分かりやすくきれいに整った形は気持ちいいかもしれないが、ぐだぐだにはぐだぐだなりの魅力があるのだ。2ヶ所ある糸のほつれも、いいアクセントになっている。
フリーダムの火はまだ消えてないよ、と100均作家がメッセージを送ってくれているような気がした。


>>『100均フリーダム』の思い出(1)
>>『100均フリーダム』の思い出(2)




posted by pictist at 21:28| 執筆

2020年05月24日

『散歩の達人』で対談しました

散歩の達人_表紙.jpeg

片手袋研究家の石井公二さんにお声がけいただきまして、『散歩の達人』2020年6月号で対談をしました。いただいたお題が「今の路上観察シーンから赤瀬川原平を振り返る」というものだったんですが、どちらかというと「いまの路上観察シーン」のほうに重点を置いた話ができたかな、と思っています。

石井さんとは以前からお話がしたかったので(石井さんは大学の卒論テーマが赤瀬川原平という筋金入り)、良い機会をもらえました。Zoomで2時間くらい話したんだけど、楽しくてあっというまでした。石井さん、またぜひおしゃべりしましょう。

6月号の特集は「ご近所さんぽを楽しもう」。「文字」「電線」「野草」「旧町名」「暗渠」などさまざまなジャンルの都市鑑賞者たちが登場していて、読みごたえがありますよ。『ほじくりストリートビュー』を連載している能町さんもコラム「バーチャル散歩講座」で参加。

IMG_8895.jpg

IMG_8892.jpg

この対談ではピクトさんの話は特にしなかったんですが、ページが非常口カラーになっててうれしかったです。


【追記】ウェブにもアップされました。
都市鑑賞者と片手袋研究家が語る、路上観察の今昔〜赤瀬川原平を振り返る〜





タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 00:49| 執筆

2019年08月25日

「express」に寄稿しました

セゾンカード会員誌「express」2019年9月号のピクトグラム特集に寄稿しました。「ピクトさん、いつもありがとう」と題して国内外のピクトさんを2ページにわたって紹介しています。

1964年東京オリンピックのピクトグラム制作メンバーの一人だった原田維夫さんのインタビューもあり、読み応えのある特集になっています。

EC0R9gKUEAEdzlE.jpeg





タグ:ピクトさん
posted by pictist at 23:54| 執筆

2018年12月31日

『街角図鑑』繁体字版&簡体字版

「装飾テント」の執筆で参加した『街角図鑑』(三土たつお編著/実業之日本社、2016年)の繁体字版と簡体字版が今年刊行されました。

こちらが繁体字版。台湾で販売されているものです。

IMG_3889.jpg

IMG_3897.jpg

装飾遮雨棚!

IMG_3899.jpg

プロフィール欄も面白かったです。「文字工作」っていいな。名刺の肩書きこれにしようかな。『ピクトさんの本』が『小緑人之書』。『100均フリーダム』が『百元商店的自由』。

そしてこちらが中国で販売されている簡体字版で、『一街一世界』。 タイトルも装幀も変わって、また違った佇まいになっています。

IMG_3892.jpg

逆に台湾や中国には街角図鑑的な本ってないのかな? 見てみたいですよね。またはこれを見た台湾や中国の人が、それぞれの国で街角図鑑的な本をつくってくれたらうれしいなあ。




posted by pictist at 20:26| 執筆