2024年09月12日

『団地ブック』第7号に俳句を寄稿しました

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あの『団地ブック』にゲストとして寄稿させていただきました! 団地ブックの既刊はすべて持っていて、毎回楽しみに読んできた同人誌なので、書かせてもらえてうれしいです。

去年から俳句をつくり始めて、これまでにシュロをテーマにした連作を2つ発表してるんですが、今回はそれに続くシュロ俳句シリーズ第3弾となります。タイトルは「棕櫚が丘団地」。近未来の団地を舞台にした連作20句です。

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私は団地に住んだことはないのですが、各方面への取材とイマジネーションを駆使して、3000戸を擁する大規模団地「棕櫚が丘団地」の未来の住人として俳句をつくってみました。

近いうちに通販が始まると思いますので、スタートしたらまたお知らせします。

棕櫚咲けば咲きましたねとゆき違ふ/内海慶一
住まひとは平らなる床いちご水


シリーズ過去作「ようこそシュロランドへ」「棕櫚村の事件」と併せて読むと、さらに面白いと思います。
こちらもよろしくお願いします。
・『シュロ3』に棕櫚俳句を寄稿しました
・句集『棕櫚村の事件』をつくりました

【追記】
大阪のすてき書店シカクさんで『団地ブック』第7号の販売が始まりました!
バックナンバーも揃ってますよ。
シカクオンラインショップ|チーム4.5畳「団地ブック7号」

posted by pictist at 23:26| 執筆

2024年03月05日

『シュロ3』に棕櫚俳句を寄稿しました

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『パルム書房のヤシ総合誌 シュロ3』が完成しました! 2021年に刊行した『シュロ2 写真とまんがと文』に続く第3弾です。対象をシュロからヤシ科の植物全般に広げ、ますます深みにはまっています。執筆メンバーも3人から5人に増えてパワーアップ。野Fさん寺田燿児さんが参加してくださいました。シュロ仲間が増えてうれしいなー。写真、漫画、旅行記、俳句、エッセイと盛りだくさん。

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前回、私は「棕櫚俳句を鑑賞する」と題して俳句の鑑賞文を書いたのですが、今回はついに自分で棕櫚俳句をつくりました。タイトルは「ようこそシュロランドへ」。架空のテーマパークを舞台にした連作20句です。楽しい作品になったと思います。

先日、『棕櫚村の事件』というミニ句集を発売しましたが、つくった順番で言うと「ようこそシュロランドへ」のほうが先でした。これがほぼ最初の俳句作品です(『シュロ2』のときに3句だけつくりましたが)。去年の初め頃に俳句の入門書を読み始めて、この1年コツコツつくってました。

棕櫚去つてまた棕櫚の来るライドかな 内海慶一

どの頭にも花こぼるるや棕櫚の国    〃

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シュロランドのロゴもつくりました。岡山の文字作家・カンザキさんにお願いしてつくってもらったものです。左側についているマークは私が購入した「パルメット文様」の素材です。いい感じに融合した気がします。これでTシャツつくりたいなあ。シュロランドで売ってるやつ。

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2010年に「シュロ景」という文章を書いて、14年。こんな未来が待っているとは思ってませんでした。お声がけくださった発行人の日日さんに、あらためて感謝いたします。

『パルム書房のヤシ総合誌 シュロ3』
発行日/2024年3月3日
判型/B6判・56ページ
価格/1100円(税込)
編集/日日
発行人/パルム書房(ぴょんぬりら、日日)

【menu】
台北檳榔体験記/寺田燿児
シュロを見た日/野F
シュロは人生のポイントカード/日日
和歌山シュロ紀行
ようこそシュロランドへ/内海慶一
ぴょんぬりらの港まち散歩/ぴょんぬりら
ヤシ類雑記


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ご購入はこちら、ぴょんぬりらさんのオンラインショップへどうぞ。
https://kinutayama.stores.jp

近日中に書店での取扱いも予定しているとのことです。

【追記】
大阪のすてき書店、シカクさんでの取扱いが始まりました! ネットショップでもご購入いただけます。
シカク オンラインショップ|パルム書房「シュロ3」


タグ:シュロ景
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2024年02月12日

句集『棕櫚村の事件』をつくりました

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ミニ句集をつくりました。タイトルは『棕櫚村の事件』。昭和初期の、ある集落を舞台にした連作20句です。俳句を読み慣れてない方でも、たとえば横溝正史とか江戸川乱歩とか夢野久作とか、そんな感じの世界が好きな方ならきっと楽しめると思います。

シュロのことが気になって「シュロ景」という文章を書いたのが2010年。その後、「棕櫚の花」が季語だと知ってシュロ俳句を研究し始め、2021年には「棕櫚俳句を鑑賞する」という文を『シュロ2 写真とまんがと文』に寄稿しました。

これがきっかけとなって「自分でも棕櫚俳句をつくってみたい」と思うようになり、2023年の始め頃から俳句の勉強を始めました。以前から俳句を鑑賞するのは好きだったのですが、読むとつくるのとでは大違いですね。入門書を読みながら悪戦苦闘しつつ、この一年コツコツとつくり溜めてきました。『棕櫚村の事件』はその一部です。

2024年2月25日に岡山市が主催する「おかやま文学フェスティバル」の「おかやまZINEスタジアム」というイベントがあります。そこに誘われて出店することになったので、急遽、ミニ句集ZINEをつくった次第です。屋号は「都市鑑賞舎」。大森と内海の二人店です。大森くんは岡山の妖怪をテーマにした漫画ZINEをつくるとのこと。

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棕櫚咲いて暗室の水濃かりけり 内海慶一

彫像にはらわたありや棕櫚の花   〃

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挿絵は伊藤若冲さんにお願いしました。玄圃瑤華(げんぽようか)というシリーズ作品の中からいくつか使ってます。

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「おかやまZINEスタジアム」、いろんな表現者を知るきっかけになりそうで、いち客としてもとても楽しみにしています。

また、2024年3月9日から始まる「みんなの奉還町書店」にも一箱出店する予定なので、『棕櫚村の事件』はそちらでも販売しようと思っています。

『棕櫚村の事件』
2024年2月25日 初版発行
著者/内海慶一
装幀・デザイン/内海慶一
装画・挿絵/伊藤若冲
印刷・製本/株式会社グラフィック
価格/500円(税込)

さらに近日、別のシュロ俳句の連作を発表する予定がありますので、追ってお知らせいたします。

【追記】
岡山のナイスな古書店「ながいひる」さんでの取扱いが始まりました。店舗または通販で購入できます。
>>ながいひるオンラインショップ
ながいひるさんは新刊書籍も扱っています。ながいひるさんが入荷する新刊書籍のチョイスはとても信頼できるなあ、といつも思っています。

タグ:シュロ景
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2022年12月18日

「路上の文庫、または都市を鑑賞する文庫」

2年前。『本の雑誌』増刊号『おすすめ文庫王国2021』に寄稿したエッセイ「路上の文庫、または都市を鑑賞する文庫」を以下に全文転載します。

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「路上の文庫、または都市を鑑賞する文庫」
内海慶一


『考現学入門』今和次郎 藤森照信・編(ちくま文庫)
『考現学入門』は今和次郎の考現学関連エッセイを選り抜いて一冊にまとめたものだ。考現学とは、同時代の風俗や事物をスケッチ・統計等によって記録し、観察する学問のこと。提唱者の今和次郎は「何百年かの後の考古学者に余分な手数をかけさせないようにと現代の物の記録を作っておく」と冗談めかして説明している。彼はスケッチブックを片手に路上を歩きまわった。そして道行く人の服装から民家の雨樋、門柱、柵、火の見櫓、果ては野良犬まで、多様な対象を「採集」した。
 本書を開けば、100年近く前の人々の生活や、街の断片を見ることができて興味深い。しかしそれより重要なのは、「ありふれたもの」を見つめた彼の目線そのものだ。
 私も長年、考現学と似たような「都市鑑賞」活動を続けているのだが、よく知っているはずの日常を凝視していると、いわく言いがたい、ある独特な感動を覚えることがある。本書の価値は、時代は違えど、そうした目線を獲得する手がかりとなる点にあると思う。
 今和次郎は「考現学とは何か」と題した文章の中でこう述べている。
「(考現学の)仕事に従事している間、われわれはわれわれ自身もそこで生活している舞台だということを忘れているのである」
 つまり、まるで外国人か宇宙人のような眼で、自身の住む街を外側から見ようとしているのだ。
『考現学入門』の編者である建築家・建築史家の藤森照信もまた、そうした「ソトの眼」を持つ人物である。

『建築探偵の冒険 東京篇』藤森照信(ちくま文庫)
 大学院で建築史を研究していた藤森は、仲間と「建築探偵団」を名乗り始める。建築探偵はカメラと地図を携えて路上を巡り、近代洋風建築をかたっぱしから見てまわった。この活動の中で藤森はある「発見」をする。
 それは、東京の下町では誰もが目にしているはずの建築だった。ありふれていて気にもとめないものだった。しかし藤森の眼だけが、それを意味のあるものとして捉えた。
 それは藤森によって「看板建築」と命名された。看板建築とは、建物のファサード(正面)を平板な衝立のようにして、銅板やモルタルなどで覆った木造の店舗併用住宅を指す。これらは関東大震災後の復興期につくられた町屋で、店主自身や大工によって設計された。画家が設計したケースもあったという。建築家の手によるものではないので、それまで研究対象にされたことはなかった。しかし藤森は看板建築に惹かれ、熱心に調査を重ね、学会で発表した。
 誰もが見たことのあるもの・知っているものが、新しい眼によって「発見」される。私はこうしたできごとにとても興味がある。
『建築探偵の冒険 東京篇』で藤森は、看板建築のほか、東京駅や皇居前広場など、都民にとっては身近なスポットを独自の視点で鑑賞している。渋沢栄一を取り上げた最終章「東京を私造したかった人の伝」では、こんなことを書いている。
「街をほっつき歩いていると、異空間にまぎれ込んでしまったような気分に襲われる時がある。たいてい、こうした場所は、大通りからちょっと斜めに入り込んだあたりに広がっていて(中略)ここだけ時間がゆっくり流れているみたいに感じられる」
 街歩きが好きな人には馴染みのある感覚だろう。ただ、私は街歩きや都市鑑賞を趣味に持つ前から、このような気分を知っていた気がする。10代の頃に読んだ萩原朔太郎の短編小説「猫町」は、私がありふれた街並みに魅力を感じるようになるきっかけとなった作品だ。

『猫町 他十七篇』萩原朔太郎(岩波文庫)
「猫町」の語り手「私」は、ある日、散歩をしている途中で道に迷う。自宅からそれほど離れていない見知った街だったが、ふと知らない横丁を通り抜けて方角を見失ってしまう。
「私は道に迷って困惑しながら、当推量で見当をつけ、家の方へ帰ろうとして道を急いだ。(中略)ふと或る賑やかな往来へ出た。それは全く、私の知らない何所かの美しい町であった」
「私」は偶然出くわした趣きのある街並みを見て「一体こんな町が、東京の何所にあったのだろう」と驚く。しばらく見とれていると、突然「私」の知覚が反転する。
「その瞬間に、私の記憶と常識が回復した。気が付いて見れば、それは私のよく知っている、近所の詰らない、ありふれた郊外の町なのである」
 知っている街並みを、いつもとは逆の方向から見ているだけだったのだ。
「この魔法のような不思議の変化は、単に私が道に迷って、方位を錯覚したことにだけ原因している。(中略)そしてただこの変化が、すべての町を珍しく新しい物に見せたのだった」
 ここまでが「猫町」の前半。後半で語り手の「私」はさらに不思議な体験をすることになる。この知覚の錯誤についての物語は、10代の私に大きな影響を与えた。世界は一種類だけではないのだ、と思った。
 朔太郎は、この蠱惑的な日常世界を「景色の裏側」と表現した。私は、海外で出会うような非日常世界とは別に、自宅から数キロメートル内の日常の中にも非日常世界があることを知った。
『猫町 他十七篇』には小説のほかに散文詩や随筆が収録されており、自由詩以外の朔太郎を知るには最適な一冊となっている。散文詩「坂」や随筆「秋と漫歩」が特におすすめだ。朔太郎はいつも、路上で思索に耽っていた。
「猫町」を読んでありふれた街並みを意識的に見始めた頃、城昌幸の「ママゴト」という掌編小説に出会った。

『城昌幸集 みすてりい ―怪奇探偵小説傑作選4―』城昌幸(ちくま文庫)
『城昌幸集 みすてりい ―怪奇探偵小説傑作選4―』には54の掌編が収められており、「ママゴト」はその中の一編だ。本作の語り手は、散歩中にふとした好奇心から、ある門前町へ入る。総門から寺まで続く道の両側には、数軒ずつ古風な店屋が並んでいる。荒物屋、呉服屋、酒屋、駄菓子屋、古道具屋、茶店。
 後日、語り手は、この門前町のすべては一個人が趣味でつくったものだと知る。それぞれの店屋に主はおらず、ただ建物が並んでいるだけだったのだ。
「映画のセットのようなものだと云う。だがセットのように裏側がないというようなものではなく、きちんとした一軒のうちに造ってある。家財道具は勿論のこと、物干まで、ちゃんと出来ている」
 寺を含めて、店屋すべてをわざわざその人物が建てたというのだ。そしてママゴトを遊ぶかのように、その実物大の箱庭を愛で、愉しんでいるのだという。
 この短い物語を読んだあとに路上を歩いていると、「この街並みも空虚なつくりものなのではないか」と感じる瞬間がある。その一瞬の錯覚は、私になにかのヒントを与えてくれているように思う。そこには「景色の裏側」へ通じる扉が見え隠れしている。
 著者の城昌幸自身、街並みや家々の佇まいを眺めるのが好きだったようで、毎日夕方になると必ず散歩に出かけていたそうだ。江戸川乱歩は城昌幸を「人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人」と評したが、城が散歩好きだったことを踏まえると、この言葉の味わいがさらに深まる。
 これらの散歩者・都市鑑賞者たちを遡ったとき、思い浮かぶ人物の一人が国木田独歩である。

『武蔵野』 国木田独歩(新潮文庫)
 1898年(明治31年)に発表された「武蔵野」は、当時20代の若者だった国木田が、それまで誰も注目していなかった郊外の雑木林(落葉林)に美を見出し、その情趣を描いた散文作品だ。雑木林は薪炭林であり、人が常に手を入れて管理している二次林である。彼は、林と民家が入り交じり、自然と生活が絡み合うこの地の散策がいかに面白いかを綴った。
国木田はこう述べる。
「元来日本人はこれまで楢の類の落葉林の美を余り知らなかった様である。林といえば重に松林のみが日本の文学美術の上に認められて居て、歌にも楢林の奥で時雨を聞くという様なことは見当らない」
 このように彼は、自分が日本の伝統的な美意識の外側にいる(外側へ出られた)ことを自覚していた。
 国木田はなぜ「ソトの眼」を獲得することができたのだろうか。彼はそのきっかけも本文で明かしている。ツルゲーネフの小説「あいびき」に出てくる自然描写を読んだことで「落葉林の趣きを解するに至った」というのだ。国木田は現実の武蔵野そのものではなく、創作物(それも異国の)を通して武蔵野の風景に魅力を感じ始めた。
 これと似た感覚に思い当たる人は多いのではないだろうか。小説以外でもいい。漫画、アニメ、映画、ゲームなどの創作物に触れて風景の見え方が変化したことはないだろうか。「あの作品に登場した風景みたいだ」と思うことによって、たとえば電信柱が、たとえば集合住宅が、たとえば橋梁が、突然輝き始める。
 風景じたいは以前と変わっていない。変わったのは自分の眼だ。
 本作の後半で国木田は、東京は「武蔵野」ではないが、東京の町はずれは「武蔵野」の一部であると言い、その趣を称えている。地理的な定義ではなく、概念としての私的な「武蔵野」を提示しているのだ。
「夏の短夜が間もなく明けると、もう荷車が通りはじめる。ごろごろがたがた絶え間がない。九時十時となると、蝉が往来から見える高い梢で鳴きだす、だんだん暑くなる。砂埃が馬の蹄、車の轍に煽られて虚空に舞い上がる」
 これを読んだ当時の読者は、ツルゲーネフを読んだ国木田と同じ経験をしただろう。よく知っているはずの見慣れた郊外が、突然、詩情を帯びた特別な地となって輝き始めたに違いない。
『武蔵野』は国木田の初期作18編を収めた第一作品集。著者が当時20代だったことを思い出しながら、「新世代」の文学者の誕生に立ち会ってほしい。


『おすすめ文庫王国2021』(本の雑誌社)
880円(税込)
2020年12月7日発売
ISBN-10 : 4860114523
ISBN-13 : 978-4860114527




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2022年07月08日

『八画文化会館vol.9 商店綜合型録』に寄稿しました

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先月発売された『八画文化会館vol.9 特集:商店綜合型録』に、装飾テント鑑賞家として1ページ寄稿しました。八画文化会館さんはなんとこれが最終号。最後に参加できて光栄です。

八画文化会館さんは長い年月をかけて、ある種のカルチャーをつくってこられたと思います。影響を受けた方も多いのではないでしょうか。SNSを見ると、終了を惜しむファンからたくさんの声が寄せられています。

八画文化会館は終わるけど、編集長の石川さんを始めとする制作陣のみなさんは、きっとまたいつか楽しい本をつくってくれるはず。そう信じています。

『八画文化会館vol.9 特集:商店綜合型録』
出版社:八角出版部
判型:B5変型並製(182mm×242mm)
ページ数:96p(オールカラー)
発売日:2022年6月8日

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2022年07月02日

『ちいさい夏』という本がほしい

ちょうど10年前、2012年にツイッターで「#ちいさい春」というハッシュタグをつくりました。その後、「#ちいさい夏」「#ちいさい秋」「#ちいさい冬」と季節ごとにタグをつくり、まとめて「ちいさい季節」と名付けました。

2018年には、「ちいさい秋」に投稿いただいたツイートを紹介するエッセイ「ちいさい季節」を雑誌『生活考察』に発表しました。

どの季節の投稿も面白いのですが、10年続けるうちにだんだん「やっぱり夏がいいな」と思うようになりました。

『ちいさい夏』という本があったら、ほしくないですか。私はほしい。

下記は当時、トゥギャッターにまとめた投稿です。見返して思い出したんですが、このとき自分が特に気に入ったワードを水色にしてますね。300ツイートくらいあります。

#ちいさい夏 https://togetter.com/li/316207

「階段の途中で空気の温度が変わる」
「ラジオからダンスミュージックが流れる回数が増える」
「勉強しているとノートに腕がくっつく」
といった、「言われてみればそういうことある」と思わせられるもの。

「ねぶた囃子の練習の音が聞こえる」
「港にたくさんの漁船が停泊していて漁網が広げられている」
「ポプラのわた毛が舞い飛んでいる」
といった、地域ごとに異なる季節感を知ることができるもの。

「殺虫灯のバチバチって音」
「信号待ちで影をさがす」
「玄関に草履がずらり」
といった、シンプルにエモーショナルでいいな、というもの。

人それぞれの、いろんな季節感があります。

中でも、自分には馴染みのないファッションやメイク、身だしなみなどに関する投稿にはハッとさせられるものが多く、たいへん興味深かったです。季節感にもジェンダー差がある。当然と言えば当然なのですが、すぐ近くにいる方々が自分の知らない季節を生きているということを、あらためて考えた瞬間でした。

判型はどんなのがいいと思いますか。私は文庫サイズがいいかなあと思うんですけど。イラストとテキストで構成して。イラストはたっぷり、4〜5ページに1枚入る感じで。いや、むしろビジュアルブックみたいな感じ?

どんなタッチのイラストが似合うと思いますか。

あのイラストレーターさんがいいかなあ・・・

実現しそうもないことを、あれこれと夢想しています。夏ですね。




posted by pictist at 23:58| 執筆

2021年06月29日

『シュロ2』に寄稿しました

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日日さん(@___h_i_b_i___ )と温田庭子さん(@pyonnurila )のお二人が2018年に制作した冊子『写真とまんが シュロ』に続く第二弾、『写真とまんがと文 シュロ2』ができあがりました。今回、お声がけいただいて私も寄稿しています。タイトルは「棕櫚俳句を鑑賞する」。俳句素人の私が、無謀にも俳句の鑑賞文を書きました。

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棕櫚のことをいろいろ調べてるうちに、ある日「棕櫚の花」が季語だということを知ったんです。それから棕櫚俳句を探してコレクションしてたんですが、『シュロ2』というきっかけをもらったので、鑑賞してみることにしました。俳句の評論はできないけど、棕櫚俳句についてなら、棕櫚鑑賞者の立場からなにか書けるんじゃないかなと思ったのです。

取り上げた棕櫚俳句は以下の20句。カッコ内は出典です。

椶櫚の花梯子とどかぬ高さかな 正岡子規
(『季語別 子規俳句集』松山市立子規記念博物館、1984年)

梯子継ぎ危く棕梠を剥ぎゐたり 兼巻旦流子
(『新歳時記』河出書房新社、2015年)

つつましき高さに垂れて棕櫚の花 鷹羽狩行
(『季語別 鷹羽狩行句集』ふらんす堂、2001年/『十一面』立風書房、1995年)

棕梠高く剥ぎて北窓塞ぎけり 村山葵郷
(『春暁』東炎山房、1944年)

棕櫚剥ぎて棕櫚の高さの残りけり 稲畑汀子
(『ホトトギス新歳時記』(第三版)三省堂、2010年)

村落に洋館ありて椶櫚の花 正岡子規
(『季語別 子規俳句集』松山市立子規記念博物館、1984年)

花棕梠や園丁つとに夏帽子 篠原鳳作
(『篠原鳳作全句文集』沖積舎、1980年)

棕櫚の花とつとと牛の寄つてくる 飯島晴子
(『飯島晴子全句集』富士見書房、2002年)

山畑や椶櫚の根もとの曼珠沙華 河野静雲
(『増補 現代俳句大系 第4巻』角川書店、1981年/『閻魔』1940年)

谿ふかく棲める木魂や棕梠の花 木下夕爾
(『花の歳時記』講談社、2004年)

棕櫚の花港の風も忘れじよ 中村汀女
(『中村汀女全句集』毎日新聞社、2002年)

棕櫚の花海に夕ベの疲れあり 福永耕二
(『角川俳句大歳時記』角川学芸出版、2006年)

花棕梠に海の入日の濃かりけり 丸山哲郎
(『俳句歳時記』(新装第二版)平凡社、2012年)

棕櫚の花沖より来たる通り雨 皆川盤水
(『草木花歳時記』朝日新聞社、1999年)

棕梠の花真昼の雲が海に湧く 山田佐人
(『新歳時記』河出書房新社、2015年)

海の上まで何もなき棕梠の花 和知喜八
(『和知喜八全句集』紅書房、2013年)

村中にひよつと寺あり椶櫚の花 也有
(『蘿葉集』、1782年)
【お詫びと訂正】この句の「村中」を、本誌で「山中」と誤記してしまいました。お詫びして訂正いたします。

古寺に皮むく椶櫚の寒げなり 鬼貫
(『角川俳句大歳時記』角川学芸出版、2006年/『大悟物狂』1690年)

古寺や僧なまめかす椶櫚の花 三園
(『日本俳書大系 第2巻』春秋社、1934年/『続虚栗』1687年)

棕櫚咲いてシャツ・パンツ・ココロよく乾く 池田澄子
(『たましいの話』角川書店、2005年)

今回取り上げた作品以外にもたくさん棕櫚俳句を発見してるので、いつか続編も書いてみたいと思っています。

「棕櫚俳句を鑑賞する」は6ページの小文なので、脇役です。『シュロ2』は全62ページの読み応え。発行人である日日さんが撮影したすてきなシュロ写真たちと、「ぴょんぬりら」こと温田庭子さんのシュロ漫画「シュロのくに」をぜひご堪能ください。

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あと、いろんな人が撮ったシュロ写真を紹介する「みんなのシュロ」コーナーもあります。シュロ仲間が増えてうれしい。

『写真とまんがと文 シュロ2』
著者:日日、温田庭子、内海慶一
発行:パルム書房
初版:2021年6月25日
判型:B6判(62ページ)
価格:1100円(税込)


取り扱い店は追って告知しますが、まずは下記イベントで先行販売しています。名古屋の方、ぜひ。

「港まちアートブックフェア2021」
2021年6月29日(火)–8月14日(土)
11時–19時
休廊日:日曜・月曜・祝日
会場:港まちポットラックビル3F(名古屋市港区名港1-19-23)
入場無料
企画|Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
主催|港まちづくり協議会

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【追記】
大阪のシカクさんで取扱いがスタートしました!
下記オンラインショップから通販可能です。
シカク オンラインショップ|パルム書房「写真とまんがと文 シュロ2」

【追記2】
東京・中野のタコシェさんでも取扱いがスタートしました!
タコシェ オンラインショップ|パルム書房「写真とまんがと文 シュロ2」

【追記3】
東京・下北沢のB&Bさん、京都のVOU / 棒さんでも取扱いがスタートしました!

【追記4】
植物にまつわる本を扱う専門書店「植物の本屋 草舟あんとす号」さん(東京都小平市)でも取扱いがスタートしました!

【追記5】
大阪のFOLK old book storeでも取扱いがスタートしました!
FOLK old book store オンラインショップ|パルム書房「写真とまんがと文 シュロ2」


posted by pictist at 10:27| 執筆