2019年02月28日

清心温泉の鏡広告

2016年に取材させていただいた清心温泉さん(岡山市北区清心町)の鏡広告です。手書き文字の味わい、いいですよね。
清心温泉さんは2017年に火災で全焼し、残念ながら廃業されています。

IMG_0425.jpg

IMG_0417.jpg

IMG_0418.jpg

IMG_0427.jpg

IMG_0429.jpg

IMG_0431.jpg

IMG_0424.jpg

IMG_0461.jpg

IMG_0460.jpg


こちらもどうぞ。
「清心温泉のタイル」





タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 21:17| 都市鑑賞

2019年01月23日

ちょっと曲がった道:『せとうちスタイル』Vol.4より

雑誌『せとうちスタイル』Vol.4に寄稿した「ちょっと曲がった道」という文章を以下に転載します。

せとうちスタイルvol4.jpg

ーー

ちょっと曲がった道

 ちょっと曲がった道が好きだ。その一条が緩やかな弧を描き、遠くで「向こう」へ吸い込まれるようにスッと消える。そんな風景に惹かれる。
 ちょっと曲がった道に立つとき「向こう」の景色は隠れている。それは、一歩ごとに現れる。現れ続ける。
 ちょっと曲がった道が描く曲線は、視線を誘導する。右へ、あるいは左へ。その先の景色へ人をいざなう。
 まっすぐな道や丁字路からはそのような興趣は得られない。まっすぐな道には隠しごとがなく、丁字路には移ろいがない。ちょっと曲がった道は、歩調に合わせて次々に新しい貌を見せ、同時に、ずっと仮面を被っている。
 理想的なちょっと曲がった道の条件は次のようなものだ。両側に建物がぎっしり連なっている。道幅はあまり広くない。そして、ある程度の距離を有している。
 両側に建物が並んでいると道筋が強調されるため、「向こう」とこちら側の繋がりがくっきりする。また、視野が適度に制限されるため、目の前の風景に没入しやすい。
 ちょっと曲がった道はほとんどの場合、数十秒も歩けば視界が開ける。なるべく長く続いてほしいと願うが、やはりすぐに終わってしまう。そのとき私は、「向こう」へ憧れながらずっとここを歩いていたいという、背反した願望を自覚する。
 萩原朔太郎の「坂」という散文詩がある。朔太郎は坂道を好んだ。

 「坂のある風景は、ふしぎに浪漫的で、のすたるぢやの感じをあたへるものだ。(中略)我我は、坂を登ることによつて、それの眼界にひらけるであらう所の、別の地平線に属する世界を想像し、未知のものへの浪漫的なあこがれを呼び起す。」
萩原朔太郎「坂」

 私は坂道に対してはこのような情感を持たないが、ここには、ちょっと曲がった道と共通の感覚があるように思う。「別の地平線に属する世界を想像」できるのは、風景が隠されているからだ。その点で坂道とちょっと曲がった道は同じ性質を持つだろう。ちょっと曲がった道は、水平に横たわる坂道なのかもしれない。
 ちょっと曲がった道の多くは、計画されて生まれたものではない。その道筋は矯正から逃れ、支配から逃れ、永年ありのままの曲線を保っている。だからどこか自由で、かつ、強靭な印象を受ける。
 ちょっと曲がった道を歩きながら、彼方を思う。草を踏み分けて往き交う人々の姿が、アスファルトに重なって消える。

ーー

『せとうちスタイル』Vol.4
112ページ
瀬戸内人
2018年1月25日発売
ISBN-13: 978-4908875205



posted by pictist at 09:06| 都市鑑賞

2019年01月20日

ため池に高架橋脚

IMG_3845.jpg

助手席から見えた高架橋脚の群れがかっこよかったので、「お」と声を出した。運転者が「停めましょうか?」と聞いてくれた。僕の好奇心をよく分かってくれている。

取材仕事の帰り道だった。インターチェンジから降りてすぐ。町からけっこう離れている。僕はクルマを運転しないので、自分ひとりで来ることはまずない場所だ。そしてこの道をふたたび通る可能性は低い。

高架橋脚は、ため池から突きだしていた。風はなく、水面がピンと張っている。暗闇の中でカメラを握った。頭上をひっきりなしにクルマが通っているのに、なぜか、とても静かだった。


posted by pictist at 12:15| 都市鑑賞

2019年01月18日

山王市場通商店街の素敵なカーブ

IMG_3484.jpg

大阪市西成区、天王寺動物園の近くに山王市場通商店街という商店街がありまして。この場所の写真を知人がインスタグラムにアップしているのを見て以来、ずっと行きたいと思ってたんですが、このたびやっと念願が叶いました(2018年12月)。

私は昔から「ちょっと曲がった道」が好きで、いい感じのちょっと曲がった道を歩くとドキドキしてしまう体質なのですが、この山王市場通商店街のカーブはかなり理想的で、写真で見た瞬間から「ここは絶対に歩きたい!」と思い続けていたのです。

IMG_3486.jpg

軽いS字カーブというか。なぜこのカーブにこんなに魅力を感じるのか自分でも分からないけど、ここに立った瞬間、「歩くのがもったいなくて歩きたくない」という矛盾した感情が湧いてくるほど興奮しました。

上掲の反対側から撮った写真がこちら。

IMG_3499.jpg

陶然としながら3往復くらいした。

それからもう一つうれしかったのは、この山王市場通商店街が「横丁アーケード」だったこと。本アーケードの途中に、それより少し狭い幅の横道があって、そこもまたアーケードになっているっていうパターンありますよね。あれにも私はなぜかグッとくるのです(厳密に言うと「横丁分岐アーケード」か)。

ちなみにこの広いほうのアーケードは「動物園前商店街」です。

IMG_3432.jpg

「一瞬よぎる迷路感」が好きなのかな。

IMG_3492.jpg

IMG_3488.jpg

IMG_3480.jpg


※エッセイを寄稿した雑誌『生活考察』Vol.6の発刊記念トークイベント「円城塔 x 福永信 x 辻本力トーク」が心斎橋で開催されたので、それを見に行くのが今回の大阪行きの主な目的でした。




posted by pictist at 00:30| 都市鑑賞

2018年12月04日

夢のマッチラベル

IMG_3273.jpg

ここは中外燐寸社(ちゅうがいまっちしゃ)が経営する駐車場、中外パーキング(岡山市北区錦町)。その囲いに、同社が販売しているマッチのラベル絵が描かれている。

中外燐寸社の創業は明治23年。現存する国内のマッチ製造メーカーの中では最古の会社だ。

トレードマークの「太鼓獅子」は、創業者の妻が夢で見たイメージを図案化したものだという。なにか由緒のあるマークなのかと思っていたら、夢だったとは。つまりこの絵にはまったく意味がないのだ。

企業のロゴマークにも商品デザインにも意味や理屈が込められる現代社会の中で、この無意味さが、なんだか清々しい。


実際のマッチラベルはこちらをご覧ください。
「太鼓獅子マッチの歴史」
http://www.chugai-match.co.jp/taikoshishi.html





タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 22:56| 都市鑑賞

2018年11月26日

喜多村病院(大正11年開業)を見学したよ

IMG_3034.jpg

岡山市北区野田屋町に喜多村病院という医院があります。地元の方なら「小便小僧があるところ」と言えばピンとくるかもしれません。大正11年(1922年)に喜多村練三氏がこの場所に開業。90年以上の歴史を持つ医院です。この小便小僧も開業時から立っているもの。

喜多村病院は、岡山で最初に「小児科」を掲げた医院なのだそうです。それで小便小僧があるんですね。小児科のサインとしてつくったのでしょう。現在は小児科ではなくお年寄りの入院介護・治療が主になっているようです。

建物は昭和20年の岡山大空襲で焼けてしまいましたが、小便小僧は難を逃れ、今も玄関先に立ち続けています。また、確認はできなかったのですが、煉瓦造りの台座部分もおそらく空襲を免れたものなのではないでしょうか。

戦後に建て直したとはいえ、すでに築70年以上経つレトロ病棟。貴重です。中を見てみたいなーと思っていたところ、このたび喜多村病院さんのご厚意で院内を見学させていただくことができました。

IMG_3035.jpg
左側に少し見えているのが新館。小便小僧のあるほうが旧館。現役です。

IMG_3232.jpg
受付前のガラス窓には手書き文字が。職人技です。

IMG_3229.jpg
処置室

IMG_3194.jpg
検査室

IMG_3198.jpg
階段を登ると……

IMG_3200.jpg
1階と2階の間の踊り場が休憩場所になってるんです。佇まいがかわいい。

IMG_3204.jpg
踊り場

IMG_3203.jpg
真鍮の手すりがいい感じの経年光沢を帯びています(今つくった造語です。経年光沢)。

IMG_3205.jpg
暗室。昔はここでレントゲン写真を現像してたんですね。

IMG_3206.jpg
暗室の入口。小窓がついてます。

IMG_3222.jpg
ここは2階。右下に見えているのが先ほどの暗室。そしてこの階段の上にあるのはトイレなのです。半階上がるようになっているという。ちょっと珍しい構造ですよね。1階にあるトイレは逆に、地下へ半階下がる構造でつくられていました。

IMG_3210.jpg
清浄室=W.C

IMG_3212.jpg
號。院内のいたるところに旧字が残っています。

IMG_3216.jpg
木窓もだんだん少なくなってますね。

IMG_3228.jpg
配管をむき出していくスタイル。

IMG_3221.jpg

喜多村病院さん、見学のお願いを快く受けてくださり、どうもありがとうございました。

考えたらあと3年ほどで開業100周年ですね。つまり小便小僧も100歳になるわけです。小僧なのに100歳。100歳なのに小僧。お祝いしましょう、2022年に。




タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 12:51| 都市鑑賞

2018年04月06日

岡山禁酒会館

IMG_9362.jpg

岡山禁酒会館は大正12年(1923年)に竣工した木造3階建ての建物。禁酒運動の拠点としてつくられ、また飲食事業もおこなっていた。建物は2018年現在も現役で使用されており、1階はカフェ、2階〜3階は貸事務所やイベントスペースとして利用されている。

IMG_2260.jpg

IMG_0420.jpg

IMG_0423.jpg

IMG_0427.jpg

IMG_0419.jpg

IMG_0410.jpg

IMG_2259.jpg

IMG_2196.jpg

結晶04.jpg

岡山市の中心部にありながら岡山大空襲による焼失を免れた数少ない建物だ。外観の意匠も見どころだが、館内の階段や廊下、窓、ドアなどの内装も鑑賞ポイント。2階には小さな資料室があり、当時使われていたロゴ入りのカップやソーサー、オリジナルサイダーの壜なども展示されている。登録有形文化財。

(岡山市北区丸の内1-1-15)

IMG_3469.jpg




タグ:都市鑑賞
posted by pictist at 15:39| 都市鑑賞