2024年11月17日

岡山市のフランス積みレンガ

レンガの積み方にはいくつか種類がある。その中でも「フランス積み」はなかなか目にする機会が少ない。フランス積みはレンガ技術が日本に入ってきた明治時代初期に採用されていた積み方で、その後「イギリス積み」がスタンダードになったため、現存するフランス積み建築は少ないのだ。

※フランス積みは「フランドル積み」「フレミッシュ積み」と呼ぶ場合もあるが、下記『日本近代建築技術史』の表記に倣い、本稿では「フランス積み」を採用する。

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村松貞次郎『日本近代建築技術史』(彰国社、1976年)より

私がこれまでに岡山市内で撮影したフランス積み建築は2件。

また、未見だが市内にはこの他に「岡山県立高松農業高等学校資料館(旧岡山県立農学校堆肥舎)」がある。つまり、判明している限りで市内にわずか3件。フランス積みはかなり稀少なのだ。

※この他、岡山県内までを範囲にすると金光学園中学高等学校の塀のごく一部がフランス積みで残っているが、ここでは割愛する。また、岡山市北区磨屋町にもフランス積みのレンガ塀が短く残っているが、こちらも割愛する。

(上記以外で岡山市・岡山県に残るフランス積みをご存じの方がいましたら、ぜひ教えてください)


■岡山市北区玉柏のレンガ蔵

以前、西川合同用水沿いを鑑賞していて見つけたフランス積みのレンガ蔵。よく見ると細部が凝っている。

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■丸高工業株式会社(岡山県岡山市南区彦崎)の工場

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この外壁は、フランス積み・イギリス積み・長手積みが混在しており、非常に見ごたえがある。

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フランス積み

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中央の控え壁が長手積みで、左右の外壁がフランス積みになっている。

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こちらは控え壁がイギリス積み。

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入口のそばにある建物もすてきだ。


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posted by pictist at 06:56| 都市鑑賞