警鐘台にはいろんな様式があるが、梯子型の木製警鐘台のことを、岡山では半鐘杭(はんしょうぐい)と呼ぶ。岡山弁で訛って「はんしょうぎぃ」あるいは「はんしょうぐえ」と言う。この半鐘杭を鑑賞していると、周囲の状況から、水防も意識してつくられているのではないかと思われるものがけっこうある。
まずは前回の記事で紹介した半鐘杭3点をもう一度見てみよう。いずれもすぐそばに水路や河川がある。
【日畑の半鐘杭】

【九蟠の半鐘杭】

【西大寺の半鐘杭】

以下は今回、新たに撮影したもの(すべて岡山市内)。
【円山の半鐘杭】

路面に分かりやすくコンクリート敷きの暗渠が見える。暗渠になった時期は調べてないが、水路沿いに立てられていることが分かる。天井川になっているところがいかにもスリリングだ。

もちろん火災報知も半鐘杭の重要な役割。柱に消防信号表が貼ってあった。

珍しい三本脚型。富山学区連合町内会によると建造は昭和30年代とのこと。

【広谷の半鐘杭】

こちらは一目瞭然で、間違いなく水路を意識したものだろう。下記Googleマップも見てほしい。



街灯も兼ねている。
【光津の半鐘杭】

ここもすぐそばに水路があるが、それだけではなく、近くにある百間川(旭川放水路)にも意識が向いているのではないかと想像する。


半鐘杭に貼られたプレートには、ここが海抜0メートル以下の土地であることが記されている。もちろん後から貼られたものだが、結果的にこの半鐘杭と水防を結びつけるような見え方になっている。

年月が経っているので半鐘杭がつくられた頃のことを知っている人は少なくなっていて、なかなかはっきりとした情報がつかめません。
岡山で「水防を意識してつくられた警鐘台」や、あるいは「水害の際に実際に活躍した警鐘台」の事例をご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示ください。