2022年02月11日

フォードと型板ガラス

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旭硝子「ハイウェイ」

型板ガラスは「ロールアウト法」という成形法によってつくられる。この技術を開発したのは、アメリカの自動車メーカー、フォード社(フォード・モーター・カンパニー)だ。1922年(大正11年)に開発されたこの技術を、1935年(昭和10年)に旭硝子(現AGC)が導入する。ここから日本における本格的な型板ガラスの生産が始まった。

昭和中期、日本の板ガラスメーカー3社はさまざまな柄の型板ガラスを競って製造した。その中に「ハイウェイ」という商品がある。メーカーは旭硝子。昭和40年代に流通していたものだ。

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旭硝子「ハイウェイ」

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旭硝子「ハイウェイ」

型板ガラスの起源がフォードであることを知ると、愉快な符合だと思う。そして「ひょっとしたらデザイン担当者の発想のきっかけになったのかも」と、無茶な想像を広げてみたくなる。

ちなみに、同時期に日本板硝子からは「サーキット」という商品が出ている。フォードが「ル・マン24時間レース」に参戦していた、まさにその時代の製品である。

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日本板硝子「サーキット」


※ロールアウト法は別名「フォード法」とも呼ばれる。自動車用ガラスの製造を目的に開発された。
※ロールアウト法そのものの起源は17世紀にまで遡ることができるが、フォード社はそれを発展させた「水平連続圧延法」を開発した(ピルキントン・ブラザーズ社が協力)。現在もこの技術を使って型板ガラスや網入り板ガラスが製造されている。
※日本板硝子は1932年(昭和7年)にコルバーン式製板機による型板ガラス「モール」の生産に成功しているが、ロールアウト法による型板ガラスの量産を開始したのは旭硝子の翌年、1936年(昭和11年)からである。



【参考文献】
・「板ガラス成形技術の変遷 ―フロート法の台頭と技術の棲み分け ―」(大神正道、2009年)
日本板硝子100周年サイト




posted by pictist at 14:04| 都市鑑賞