2021年11月08日

型板ガラス「菊」の謎(“半”解決篇)

※最下段に【追記】を書きました(2022.2.8)

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以前、【型板ガラス「菊」の謎】という記事を書きました。「菊」と呼ばれている型板ガラスがどこのメーカーのものなのか分からない、という内容です。「菊」という商品名が正しいのかさえ、定かではない。製造年も不明。型板ガラスメーカー各社の社史にも載っていない。『産業技術史資料データベース』にも載っていない。他の型板ガラスの情報はほぼ判明してるんですが、「菊」の情報だけがぽっかりと欠落してるんです。

こんなことを調べてなにになるのか。なんにもならないわけですが、どうしても気になったので、まずはネットで見つけたガラス屋さんに聞いてみることにしました。石川県金沢市でガラス店を営んでいる前田ガラス店さんです。

購入の相談でもない個人的な質問メールをお送りすることに大変恐縮しつつだったのですが、とても丁寧なお答えをいただきました。前田ガラス店さん、ありがとうございました。

まず、製造メーカーは日本板硝子であると。ただ、製造年は「昭和40年代のオイルショック前後だったと記憶している」が、具体的な年は分からないとのことでした。また、流通期間は短かったとの情報をいただきました。

これはもう日本板硝子さんに聞くしかない。というわけでメールで質問しました。こちらも大変丁寧なお答えをいただきました。日本板硝子さん、ありがとうございました。

日本板硝子さんによると、型板ガラスの商品名は、ひらがなで「きく」と記録されているとのこと。ただ、正確な発売時期の記録が残っておらず、「昭和44〜46年頃に販売していた製品ではないかと思われます」とのご回答でした。

第1次オイルショックが昭和48年なので、前田ガラス店さんの記憶と少しだけずれますが、おおむね合致していると考えてよいかと思います。意外なことに「新柄戦争」の時代より少し後なんですね。なんとなくですが、柄の雰囲気からもっと昔の商品なのかと思っていました。

ちなみに日本板硝子の商品で言うと、「わかば」が昭和42年11月発売、「ささ」が昭和43年8月発売。「きく」はこのあとくらいに出たということになります。

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日本板硝子「わかば」

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日本板硝子「ささ」

そしてさらに、驚きの情報をいただきました。「『きく』は旭硝子(現在のAGC)さんでも同時期に販売されていたようです」とのこと。そうだったのか!

じゃあ以前【型板ガラス「しきし」の謎】で書いたのと同じように、もしかして「きく」にも微妙にデザインの異なる2種類があるっていうこと?

旭硝子さんにも聞いてみるか……とも思いましたが、ひとまず調査はここでいったん終了とします。

【まとめ】
・型板ガラス「きく」の製造メーカーは日本板硝子
・製造年は昭和44年頃(1969年頃)※推測
・流通期間は短かった
・同時期に旭硝子も「きく」を販売していた

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2種類あるかもしれない「きく」。謎を調べた結果、目の前のこれが日本板硝子製か旭硝子製か断言できないという、さらなる深みにはまってしまった。

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今も町を歩けばまれに目にすることがあります。

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友人の実家にあった「きく」。現存せず。

【追記】2022.2.8
上の記事を書いたあと、旭硝子さん(現AGC)にも問い合わせてみました。ご回答いただきました。その結果、分かったこと。

・旭硝子も「きく」を製造・販売していた。
・「きく」の正確な販売年は不明だが、1960年代後半〜1975年頃に流通していた。

というわけで再度まとめると、
・「きく」は日本板硝子と旭硝子が販売していた。
・商品名はどちらもひらがなで「きく」。

です。
つまり菊模様の型板ガラスには2種類あることが分かりました。




posted by pictist at 19:14| 都市鑑賞