2021年02月23日

思い出の「チロップ」

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岡山市北区奉還町の雑貨店「チロップ」さんが2021年2月21日をもって閉店されました。岡山で『団地ブック』シリーズや『金沢民景』シリーズ、『八画文化会館』シリーズ、『エアコン配管観察』、「マニアパレル」グッズなどの現物を手にすることができる貴重なお店だったので、閉店はとてもさびしいです。

私もここでいろいろなものを買いました。引っ越す知人への贈りものに「テトぐるみ」を買ったのは良い思い出です。岡山で「テトぐるみ」が買える、これがどれほどすてきなことか、きっと分かる人には分かってもらえると思います。

そしてそれは、他の取り扱い商品一つひとつについても言えることだったと思います。ロフトや東急ハンズや一般書店にないものが、ここにはありました。

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チロップさんは、大量流通していない、個人クリエーターのアイテムやキャラクター商品、ハンドメイド作品、インディーズ出版物などを中心に扱っていました。通販ではなく現物を見て買える場所があるというのは、作家さんにとってもお客さんにとっても、うれしいことだったと思います。

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チロップさんには、市外や県外から来店するお客さんもたくさんいたようです。ネットを検索すると、閉店を惜しむ大勢の方の声が出てきます。これを見るだけでも、チロップさんの魅力が伝わってきます。「ファンのいるお店」というのは、つくろうと思ってつくれるものではないと思うのです。

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また、2017年にはチロップさんの主催で「おかやま団地くらぶ」というトークイベントが開催されました(共同主催:of)。これも当時、「よくぞ岡山でこういうイベントをやってくれた、ありがとう!」という気持ちで見に行きました。

それから、『思い出の奉還町』というすてきな自費出版本があるのですが、これは著者のすみれ乃さんがチロップにお客さんとして通われていたことが、出版のきっかけになったそうです。

私はすみれ乃さんとも面識があるので、今回この記事を書くにあたって、あらためて当時のことを聞いてみました。

すみれ乃さんがチロップのオーナーさんに昔の奉還町のことを話していると、「面白いからブログにすればいいのに」と勧められたことがそもそもの始まりだということでした。その際、すみれ乃さんが「ブログの記事がたまって、もし本にしたらお店に置いてくれますか?」と聞くと、オーナーさんは快諾してくれたそうです。「置いてもらえる場所がある」からこそ、すみれ乃さんは出版を決意されたのだと思います。

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『思い出の奉還町』2部作(写真はチロップさんのツイッターより)

『思い出の奉還町』の表紙イラストは、イラストレーターの中村杏子さんが手がけられています。中村さんは以前、チロップで個展を開催したことがあり、すみれ乃さんはその際に中村さんと面識を持ち、そのご縁でイラストをお願いしたのだそうです。チロップという場を介したつながりが生んだ本と言えるかもしれません。

イベント開催、作品展示・販売、人の交流を通して、チロップさんはある種の文化を守り、また発信されていたと思います。地方都市・岡山では貴重な存在でした。

2016年8月のオープンから4年半。限られた年月だとしても、チロップさんの活動はきっといろんな人になんらかの影響を与えていて、それはずっと残り続けると思います。



通販サイトは続けるそうなので、ぜひ覗いてみてください。『思い出の奉還町』もこちらから購入できます。

chiropネットストア(現在はクローズ中ですが4〜5月頃から再開するそうです)

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チロップさん、おつかれさまでした。


posted by pictist at 21:47| あれこれ