2017年12月17日

旧岡山警察署庁舎跡

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明治38年(1905年)に完成した旧岡山警察署庁舎(設計:江川三郎八)は、昭和20年(1945年)の岡山空襲で全壊した。その跡地に、煉瓦造の基礎が数メートルだけ残っている。このアーチ型は、おそらく換気孔だろう。当時はこの中に鋳鉄の格子が嵌め込まれていたのではないだろうか。

近づいてよく見ると、煉瓦の目地がかまぼこ型に盛り上がっている。これは覆輪目地(ふくりんめじ)と言って、古い煉瓦造の建物に見られる施工法の一つだ。有名なところでは東京駅丸の内駅舎にも用いられている。

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丸の内駅舎の復元工事(平成24年/2012年完了)の際には、この覆輪目地も忠実に再現された。現代の職人には受け継がれていない喪われた技術だったが、駅舎の復元にあたってこの左官技術を一から甦らせたそうだ。

東京駅の着工は明治41年、開業が大正3年なので、旧岡山警察署庁舎はそれよりも古い。

まるで切り取られたかのように一部分だけ残されたこの煉瓦を見ていると、時空の窓から明治時代を覗いているような気持ちになる。

(岡山市北区天神町9)


【2018年11月9日追記】
現在、この場所ではRSK(山陽放送)の新社屋を建設中。工事に伴い上記の煉瓦部は解体・撤去されることになっていたのですが、地元の有志の方の尽力により、近くの「甚九郎稲荷」に移設されました。2つあったアーチのうちの片方だけですが、明治の貴重な遺構が命を長らえました。

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posted by pictist at 18:38| 都市鑑賞