ときどき「シュロの葉をかたどったもの」と説明されることがありますが、これは正確ではなく、もともとはヤシ(ナツメヤシ)の「樹形」から生まれたものと考えられています。
奈良文化財研究所のこちらのブログが面白いです。
なぶんけんブログ|文様のはるかな旅路
ここが特に面白い。
《パルメットは西アジアから東へ波及するなかで、文様のみがもたらされ、それぞれの地で身近な植物と結びつきながら図案化されていったのでしょう。古代の日本でも、パルメットの祖型が何なのか、人々は知らなかったと思われます》
《西アジアで生まれたパルメットは、はるばる日本までやってきて、さらに独自の変化を遂げました》
「樹形」の意匠だったものが「葉」の意匠として解釈されたことが、もっとも大きな変化だったのだろうと思います。
先日つくった「シュロランド」のロゴにもパルメット文様を使っています。このパルメットは素材を購入したもの。右のシュロランドの文字は、岡山の文字作家カンザキさんにお願いしてつくってもらったものです。

『パルム書房のヤシ総合誌 シュロ3』(2024年)所収「俳句 ようこそシュロランド」より
これも広義のシュロ景と捉えたい。 日本ではよく洋風建築の意匠や、和洋折衷建築の鬼瓦などに使われています。これまでに撮影したパルメットを以下に掲載します。










こちらはパルメットとシュロの貴重なツーショット。

福寿会館(旧 安倍和助別邸/広島県福山市)で見ることができます。
西洋のパルメットと日本のパルメットでは、上下が逆になっていることが多い。「樹形」と捉えているか、垂れ下がる「葉」と捉えているかの違いなのだろうと思います。