2022年11月09日

現存最古「京橋水管橋」

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京橋(岡山市)のすぐ横に架かる「京橋水管橋」は1904年(明治37年)に竣工した(翌年に通水)。京橋より13年も早くつくられている。つまり京橋水管橋の竣工時、京橋はまだ先代の木橋だったのだ。その横にコンクリート橋脚と鋼トラスでできた水管橋が出現した。

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当時の人々は、最先端の技術でつくられた全長130メートルの水管橋に目を見張ったことだろう。そしてなにより、上水道の通水を大いに喜び、祝ったに違いない。岡山市の上水道は全国で8番目に敷設された。京橋水管橋もその設備の一つだ。

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京橋水管橋は岡山県内に現存する最古の鋼トラス橋であり、また鋼製水管橋としては全国最古のものである。

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見る角度によって万華鏡のように表情を変えるトラス。

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山形鋼(アングル)を巧みに使っている点も見逃せない。

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コンクリート橋脚の上に敷かれた花崗岩はおそらく地元産の万成石だ。京橋水管橋の紹介でこの点に触れているテキストを見たことがないが、「岡山らしさ」が現れているポイントなので、ぜひ京橋の歩道から覗いてみてほしい。

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ちなみに岡山市の上水道設備を設計したのは吉村長策という技師で、日本各地の水道設備の建設に従事した人物である。


【参考資料】
おかやまの歴史的土木・近現代建築資産
岡山県の近代化遺産(岡山県文化財保護協会、2005年)

【あわせて読みたい】
・京橋(岡山)のすてきな橋脚
・半田山配水地
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・復興の象徴としての月見橋
・旭川の新堰管理橋
・相生橋水位観測所




posted by pictist at 19:06| 都市鑑賞

2022年11月07日

京橋(岡山)のすてきな橋脚

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岡山市、旭川に架かる京橋は1917年(大正6年)に竣工した。この橋の見どころは橋脚だ。梁でつながった円柱形の橋脚5本がひと組になっており、それが多径間で連続している様子はたいへん見ごたえがある。

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橋脚と梁が織りなす幾何学模様は見る位置によって変化するので、橋の下の河川敷を移動しながら鑑賞してみてほしい。

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上部のアーチもかっこいい。

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橋脚は鉄筋コンクリート製で、鋼板で覆われている。この時代ならではの「リベット接合」も鑑賞ポイントだ。

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この京橋を設計したのが20代の若者だったことを知る人は少ない。名前は小西隆。当時、岡山県の技手(のちに技師)だった。設計のみならず施工管理(現場監督)も担当している。実施設計の作成時25歳、竣工時27歳という若さだった。

小西はその後も岡山県内の多数の橋梁の設計に携わっている。京橋は1922年(大正11年)の追加工事で幅員を6間から8間に拡張したが、この設計も小西がおこなった。拡幅工事によって京橋は路面電車の通行が可能になった。

京橋の下に立っていると、ときどき頭上から路面電車のギーッという走行音が聞こえてくる。まだ旭川の舟運が盛んだった時代、当時の人々も路面電車の音を頭上に聞きながら、この橋脚を眺めていたのだろう。

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【参考資料】
岡山市|「明治150年 岡山の京橋 〜幕末、明治から大正へ〜」

【あわせて読みたい】
・復興の象徴としての月見橋
・旭川の新堰管理橋
・相生橋水位観測所




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