
京橋(岡山市)のすぐ横に架かる「京橋水管橋」は1904年(明治37年)に竣工した(翌年に通水)。京橋より13年も早くつくられている。つまり京橋水管橋の竣工時、京橋はまだ先代の木橋だったのだ。その横にコンクリート橋脚と鋼トラスでできた水管橋が出現した。

当時の人々は、最先端の技術でつくられた全長130メートルの水管橋に目を見張ったことだろう。そしてなにより、上水道の通水を大いに喜び、祝ったに違いない。岡山市の上水道は全国で8番目に敷設された。京橋水管橋もその設備の一つだ。

京橋水管橋は岡山県内に現存する最古の鋼トラス橋であり、また鋼製水管橋としては全国最古のものである。

見る角度によって万華鏡のように表情を変えるトラス。

山形鋼(アングル)を巧みに使っている点も見逃せない。

コンクリート橋脚の上に敷かれた花崗岩はおそらく地元産の万成石だ。京橋水管橋の紹介でこの点に触れているテキストを見たことがないが、「岡山らしさ」が現れているポイントなので、ぜひ京橋の歩道から覗いてみてほしい。

ちなみに岡山市の上水道設備を設計したのは吉村長策という技師で、日本各地の水道設備の建設に従事した人物である。
【参考資料】
おかやまの歴史的土木・近現代建築資産
岡山県の近代化遺産(岡山県文化財保護協会、2005年)
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