2022年07月31日

旭川の新堰管理橋

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旭川の新堰(岡山市)は水田地帯へ農業用水を供給するための施設、いわゆる頭首工(とうしゅこう)である。3基並んだコンクリートの操作室がかっこいい。ここも2016年の「岡山芸術交流オルタナティブマップ」で紹介した鑑賞スポットの一つだ。1977年(昭和52年)竣工。

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キュンキュン☆コンクリート

6月。稲作シーズンになると可動堰のゲートが降ろされる。これにより上流側の水位を上げ、用水を取り入れるのだ。これは地元民にとっては「ちいさい夏」の一つとなっている。可動堰のゲートが降りたら、夏。

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ゲートが上がっている状態

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ゲートが降りている状態

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下流側から上流側を見たところ。上流側の水位が上がっていることが分かる。取水した「新堰用水」は旭東エリア・倉安川以南の水田を潤している。

新堰の上を通る「新堰管理橋」は一般に開放されており、歩行者と自転車の通行が可能だ。橋の上からは上流の相生橋や、下流の小橋・中橋・京橋を一望することができる。

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相生橋

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左から小橋・中橋・京橋

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岡山城も見え隠れ

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新堰管理橋の左岸側、ゲートのない部分はアーチ橋になっている。橋桁の向きもここで少し変わるので、渡りながら移ろいを楽しめる。

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新堰管理橋の下流にある「新堰下流水位観測所」。上流の相生橋水位観測所と併せて鑑賞したい。こちらはコンクリート製だ。

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新堰管理橋と新堰下流水位観測所の間に「内」という字が刻まれた境界標が2つある。この「内」は内務省のこと。現在、一級河川は国土交通省(旧建設省)が管理しているが、かつては内務省の管轄だった。

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文字がかわいい。

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内務省は1947年(昭和22年)に廃止されたので、この境界標はそれ以前につくられたことになる。旭川は1930年(昭和5年)から1937年(昭和12年)にかけて大規模な改修工事をおこなっている。おそらくこの境界標はその頃につくられたものだろう。旭川の歴史を伝える、貴重な遺物だ。

【参考資料】岡山県|新堰





posted by pictist at 17:39| 都市鑑賞

2022年07月24日

相生橋水位観測所

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岡山県庁舎のそば。旭川に架かる相生橋(あいおいばし)の西詰に、煉瓦造りの古い塔がある。国土交通省が管理している「相生橋水位観測所」だ。赤煉瓦の円筒形に三角屋根。これに蔦が絡まる様子は実に趣きがある。季節ごとに移ろう表情も見ものだ。

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『岡山県の近代化遺産』(岡山県文化財保護協会、2005年)は相生橋水位観測所の竣工を「大正期以前」と記載している。また、確認できた資料の中でもっとも古いのは『戦前の岡山』に載っている1919年(大正8年)の写真だ。

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渡辺泰多『戦前の岡山』(1997年、丸善岡山支店出版サービスセンター)より一部をトリミング

写真撮影時よりさらに前につくられた可能性は十分にある。ちなみに相生橋(初代)が架設されたのは1904年(明治37年)。その後、1914年(大正3年)に架け替えられ(2代目)、現在の相生橋は1937年(昭和12年)に竣工した(※その後改修)。

全国の水位観測所を調べたわけではないので断言できないが、現役の水位観測所としては最古の部類に入るのではないだろうか。いずれにしても築造からゆうに100年を超す貴重な構造物だ。

この塔は2016年に制作した「岡山芸術交流オルタナティブマップ」でも紹介したのだが、近くにある京橋(土木学会選奨土木遺産)や京橋水管橋(登録有形文化財)に比べると、注目される機会は少ないようだ。

コンクリートの普及以降、煉瓦構造物がつくられることは少なくなった。ましてや円筒形の煉瓦構造物が今後、新たにつくられることはまずないだろう。そうした意味でも貴重な文化遺産だと言える。

※相生橋は昭和61年に改修し、歩道を拡幅した。このとき親柱に設置された銘板には竣工年が「昭和13年」と記されているが、実際は昭和12年に竣工・開通している。

【参考文献】
『岡山県の近代化遺産』(2005年、岡山県文化財保護協会)
渡辺泰多『戦前の岡山』(1997年、丸善岡山支店出版サービスセンター)
『岡山市史』第6巻(1938年、岡山市役所)





posted by pictist at 09:17| 都市鑑賞

2022年07月09日

洋品店コレクション

このまえお知らせしたように『八画文化会館vol.9 特集:商店綜合型録』に装飾テントの原稿を寄稿したんですが、「個人商店」というテーマで思い出しました。自分が洋品店を撮っていたことを。

というわけで、いい機会なので私の洋品店コレクションの中からいくつかご紹介します。洋品店って不思議な魅力があるんですよね。つい立ち止まって見てしまう。お店の前に洋服が並んでいる、あの賑やかさがいいのかもしれません。

男性向けより女性向け洋品店のほうに魅力を感じるのは、そっちのほうがより賑やかだからだろうと思います。

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posted by pictist at 13:31| 都市鑑賞

2022年07月08日

『八画文化会館vol.9 商店綜合型録』に寄稿しました

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先月発売された『八画文化会館vol.9 特集:商店綜合型録』に、装飾テント鑑賞家として1ページ寄稿しました。八画文化会館さんはなんとこれが最終号。最後に参加できて光栄です。

八画文化会館さんは長い年月をかけて、ある種のカルチャーをつくってこられたと思います。影響を受けた方も多いのではないでしょうか。SNSを見ると、終了を惜しむファンからたくさんの声が寄せられています。

八画文化会館は終わるけど、編集長の石川さんを始めとする制作陣のみなさんは、きっとまたいつか楽しい本をつくってくれるはず。そう信じています。

『八画文化会館vol.9 特集:商店綜合型録』
出版社:八角出版部
判型:B5変型並製(182mm×242mm)
ページ数:96p(オールカラー)
発売日:2022年6月8日

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posted by pictist at 06:31| 執筆

2022年07月02日

『ちいさい夏』という本がほしい

ちょうど10年前、2012年にツイッターで「#ちいさい春」というハッシュタグをつくりました。その後、「#ちいさい夏」「#ちいさい秋」「#ちいさい冬」と季節ごとにタグをつくり、まとめて「ちいさい季節」と名付けました。

2018年には、「ちいさい秋」に投稿いただいたツイートを紹介するエッセイ「ちいさい季節」を雑誌『生活考察』に発表しました。

どの季節の投稿も面白いのですが、10年続けるうちにだんだん「やっぱり夏がいいな」と思うようになりました。

『ちいさい夏』という本があったら、ほしくないですか。私はほしい。

下記は当時、トゥギャッターにまとめた投稿です。見返して思い出したんですが、このとき自分が特に気に入ったワードを水色にしてますね。300ツイートくらいあります。

#ちいさい夏 https://togetter.com/li/316207

「階段の途中で空気の温度が変わる」
「ラジオからダンスミュージックが流れる回数が増える」
「勉強しているとノートに腕がくっつく」
といった、「言われてみればそういうことある」と思わせられるもの。

「ねぶた囃子の練習の音が聞こえる」
「港にたくさんの漁船が停泊していて漁網が広げられている」
「ポプラのわた毛が舞い飛んでいる」
といった、地域ごとに異なる季節感を知ることができるもの。

「殺虫灯のバチバチって音」
「信号待ちで影をさがす」
「玄関に草履がずらり」
といった、シンプルにエモーショナルでいいな、というもの。

人それぞれの、いろんな季節感があります。

中でも、自分には馴染みのないファッションやメイク、身だしなみなどに関する投稿にはハッとさせられるものが多く、たいへん興味深かったです。季節感にもジェンダー差がある。当然と言えば当然なのですが、すぐ近くにいる方々が自分の知らない季節を生きているということを、あらためて考えた瞬間でした。

判型はどんなのがいいと思いますか。私は文庫サイズがいいかなあと思うんですけど。イラストとテキストで構成して。イラストはたっぷり、4〜5ページに1枚入る感じで。いや、むしろビジュアルブックみたいな感じ?

どんなタッチのイラストが似合うと思いますか。

あのイラストレーターさんがいいかなあ・・・

実現しそうもないことを、あれこれと夢想しています。夏ですね。




posted by pictist at 23:58| 執筆