
旭川の新堰(岡山市)は水田地帯へ農業用水を供給するための施設、いわゆる頭首工(とうしゅこう)である。3基並んだコンクリートの操作室がかっこいい。ここも2016年の「岡山芸術交流オルタナティブマップ」で紹介した鑑賞スポットの一つだ。1977年(昭和52年)竣工。

キュンキュン☆コンクリート
6月。稲作シーズンになると可動堰のゲートが降ろされる。これにより上流側の水位を上げ、用水を取り入れるのだ。これは地元民にとっては「ちいさい夏」の一つとなっている。可動堰のゲートが降りたら、夏。

ゲートが上がっている状態

ゲートが降りている状態

下流側から上流側を見たところ。上流側の水位が上がっていることが分かる。取水した「新堰用水」は旭東エリア・倉安川以南の水田を潤している。
新堰の上を通る「新堰管理橋」は一般に開放されており、歩行者と自転車の通行が可能だ。橋の上からは上流の相生橋や、下流の小橋・中橋・京橋を一望することができる。

相生橋

左から小橋・中橋・京橋

岡山城も見え隠れ

新堰管理橋の左岸側、ゲートのない部分はアーチ橋になっている。橋桁の向きもここで少し変わるので、渡りながら移ろいを楽しめる。

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新堰管理橋の下流にある「新堰下流水位観測所」。上流の相生橋水位観測所と併せて鑑賞したい。こちらはコンクリート製だ。

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新堰管理橋と新堰下流水位観測所の間に「内」という字が刻まれた境界標が2つある。この「内」は内務省のこと。現在、一級河川は国土交通省(旧建設省)が管理しているが、かつては内務省の管轄だった。

文字がかわいい。

内務省は1947年(昭和22年)に廃止されたので、この境界標はそれ以前につくられたことになる。旭川は1930年(昭和5年)から1937年(昭和12年)にかけて大規模な改修工事をおこなっている。おそらくこの境界標はその頃につくられたものだろう。旭川の歴史を伝える、貴重な遺物だ。
【参考資料】岡山県|新堰