2022年03月18日

瀬戸町鑑賞

2018年に瀬戸町(岡山市東区)を歩いたときの記録です。写真はすべてクリック(タップ)で拡大できます。

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高原写真館(1927年/昭和2年5月竣工 ※『岡山県の近代化遺産』より)
創業は1923年/大正12年

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右書きでうっすら「高原」の文字が見えます。真ん中のマークは「S」?

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結霜ガラス(参考→ http://pictist.sblo.jp/article/189218307.html

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パルメットもあり。

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HとTがすごい。

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馬渡(まわたり)橋(1933年/昭和8年竣工)。和洋折衷デザインの親柱が面白い。

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3つの長方形を配したこのアール・デコ調の意匠は田町橋(岡山市北区、1930年/昭和5年竣工)などにも見られます。

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旧木村屋瀬戸駅前店(昭和初期竣工)

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雷紋はアール・デコ時代に好まれた意匠の一つ。

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BARBER OIWA

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岡山市東区役所瀬戸支所(旧瀬戸町役場)庁舎(1969年/昭和44年)竣工。かっこいい。

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瀬戸橋(1929年/昭和4年)竣工

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角地建築の木造3階建て、岡理容美容院。

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馬渡川橋梁

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サイドが看板になっている周藤印判仏具店のユニークな装飾テント。戦前の創業で、現在の店主が3代目だそうです。「祖父が大阪のはんこ屋で修行した」とおっしゃってました。仏具は後から扱い始めたそう。

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すてきな玄関灯。

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型板ガラス「ほなみ」と「ささ」のコンビネーション。

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かわいい山型の小屋裏換気口。

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元岡呉服店

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三木歯科医院

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【参考文献】
『岡山県の近代化遺産』(岡山県文化財保護協会、2005年)

【あわせて読みたい】
・旭公民館のオールド・コンクリート塀
・西大寺鑑賞
・玉島鑑賞




posted by pictist at 19:48| 都市鑑賞

2022年03月16日

街角のオールド公会堂

「公会堂」って、なんかいいですよね。日比谷公会堂みたいなのじゃなくて、町内会単位でつくられるやつ。「集会所」って名付けられることもある。

岡山市内に残るオールド公会堂を4つ紹介します。


■富北公会堂(岡山市北区学南町)

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竣工年は分からないけど、いかにも古そう。

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ギャンブレル屋根にフィニアル。

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梅で見えにくいけど、窓の手すりがかわいい!

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改修はされてるけど、元はかなり古いと思う。敷地内には皇紀二千六百年記念碑(1940年/昭和15年)もありました。

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プレートをさわってみると金属製でした。ブリキかな?

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すごい腰壁。


■野殿公会堂(岡山市北区野殿東町)

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こちらも竣工年は不明ですが、いかにも古そう。

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右書きだし。

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この軒裏が昭和初期っぽさを醸し出してる。

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隣りには、これまた古そうな消防小屋があります。

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■厚生町二丁目公会堂(岡山市北区厚生町)

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大供第2公園の中にある公会堂です。1938年(昭和13年)竣工。

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かなり改修されてますが、ポーチ部分は竣工当時のおもかげを残しているのではないかと思います。

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左官仕事によるコリント式っぽい柱。柱に溝がないけど。

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この天幕みたいなのはなんなんですかね?

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日本写真印刷本館(旧京都綿ネル、京都市中京区)のポーチを彷彿とさせます。

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日本写真印刷本館(1906年/明治39年竣工)
>>文化遺産オンライン

あと、岡山でコリント式と言えば旧日本銀行岡山支店(現ルネスホール、1922年/大正11年竣工)。厚生町二丁目公会堂から2キロほどの場所です。

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旧日本銀行岡山支店のコリント式柱頭。こちらは御影石でできている。


■新野(にいの)公会堂(岡山市北区津島新野)

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この建物は、元は陸軍施設でした(旧陸軍騎兵第二十一連隊将校集会所、1907年/明治40年以降竣工)。

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床下換気孔には陸軍マークが。

以下は2021年に再訪したときの写真。門まわりが改修されたり、ペンキが塗り直されたりしていました。

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町の公会堂や集会所って、意外と記録に残りにくい気がします。

【参考文献】
『岡山県の近代化遺産』(岡山県文化財保護協会、2005年)




posted by pictist at 15:42| 都市鑑賞

2022年03月15日

『はみだす緑 黄昏の路上園芸』

『はみだす緑 黄昏の路上園芸』
村田 あやこ(文、写真)
藤田 泰実(デザイン、イラスト)
発行:雷鳥社
定価 1,600円+税
ISBN978-4-8441-3785-6
2022年3月24日発行
版元ドットコム|『はみだす緑 黄昏の路上園芸』

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発売間近の『はみだす緑 黄昏の路上園芸』を一足早く拝読した。まっさきにお伝えしたいのは、本書は路上園芸「以外」も登場する本ですよ、ということだ。書名の副題に「園芸」という言葉が入っているが、本書は人間に飼われていない野生の植物(←この5文字に傍点を打ちたい)も取り上げている。そこが面白い。

村田あやこさんは都市で起こりがちな「植物の現象」を丁寧に拾い集める。

都市は当然、人間がつくったものだ。だから都市で生きている植物は、人間の営みと常に関係していると言える。園芸植物として育てられていようと、野良植物として道端に生えていようと、そこが都市なのであれば、どちらも「人との関わり」を持っているという点では同じだ。『はみだす緑 黄昏の路上園芸』は、その両方を見つめる。このレンジの広さが、本書の内容を豊かなものにしている。

たとえば、「緑のアパートメント(段差解消スロープの穴から顔を出す植物)」(29ページ)という現象は、誰かが意図的につくったものではない。段差解消スロープという都市の構成要素と植物が関わることによって生まれる「何か」だ。村田さんはそれを掬い上げる。

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路上園芸(軒先で育てる植物)にまつわるあれこれが本書のメインテーマだ。だからトロ箱も、室外機も、貝殻も、小人の置物も、猫よけペットボトルも登場する。さらに路上園芸を取り囲む事物についても描かれる。ガムテープで修繕された玄関ドア、スナックの店先に貼られた知らない演歌歌手のポスター、物干し竿がわりに使われる木の枝。そしてなにより、路上園芸を愉しむ人々。

本書はまちに暮らす架空の人物たちを通して、私たちと同じ都市生活者を見つめる。読むうちに、人がそこに暮らしている、人がそこで生きているという当たり前のことが、しみじみと胸に迫ってくる。

書名の「はみだす緑」には、おそらく二つの意味がある。一つは、石垣の隙間などからはみだしている野生の植物のこと。39ページに「はみだせ緑」と題した一文があり、「街の隙間で生きる植物を思わず応援したくなったときに発する言葉」と説明されている。

もう一つの意味は、路上園芸そのものだ。路上園芸の植木鉢は公道にはみだしていることが多い(帯文には「路上にはみだす植物愛」とも書かれている)。まちの人々は、はみだす園芸をなんとなく許容しながら暮らしている。そんな「包容力」についてのコラムが100〜101ページにある。

「はみだす緑」を鑑賞することは、「はみだしていてもいい」状況に出会うことでもある。本書のタイトル『はみだす緑』には、私たちの生きるこの世界が「はみだす」を肯定する場所であってほしい、という願いが込められているのかもしれない。

村田さんは植物を通して、人の暮らしを、都市を見つめる。

園芸の巧者を英語圏で「グリーン・フィンガーズ」と言うらしいが、さしずめ村田さんは「グリーン・アイズ」だろうか。読後、その眼を少し分けてもらえたような気がした。

ーーー

現在、『はみだす緑 黄昏の路上園芸』の刊行記念展が開催中です。写真やイラスト原画などを展示しているとのこと。著者が在廊するタイミングもあるみたいですよ。

【はみだす緑 解体新書】
期間:2022年3月14日(月)〜27日(日)
会場:BALLOND'ESSAI ART GALLERY 3F
(本屋のアンテナショップ「BOOKSHOP TRAVELLER」隣)
住所:155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目30-11北澤ビル3F
営業日:月・火・金〜日 12:00-19:00 (休業日:水・木)

デザインとイラストを担当されている藤田泰実さんの絵がたいへんすてきで、本書の大きな魅力になっていると思います。原画を鑑賞できる貴重な機会です。ぜひ。

『はみだす緑 黄昏の路上園芸』は村田さんと藤田さんの共著ですが、まさに共著と呼ぶにふさわしい、「テキスト担当とイラスト担当」というような関係を越えた、お二人(SABOTENS)の作品になっていると思いました。



posted by pictist at 20:04| レビュー

2022年03月13日

岡山市の鏝絵3種

岡山市内に残る鏝絵(こてえ)3点。いずれも戦前のものです。

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鯉に金太郎

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鶴と亀

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猿の三番叟

【参考文献】
赤松壽郎『岡山の鏝絵』(日本文教出版、2001年)




posted by pictist at 02:02| 都市鑑賞

2022年03月04日

地下道と暗渠の立体交差

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岡山駅南地下道(1999年竣工)は、岡山駅からイオンモール岡山まで続く地下道だ。この通路は駅側からイオンモールに向かって、かなりの下り坂になっている。そのため、突き当たりで「地下2階」からイオンモール岡山に入ることになる。なぜこんなに深く掘ったのだろうか。

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地下道の南端はイオンモール岡山のゲート。東側の階段にはエスカレーターも設置されている。

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階段の下から地上を見上げる。深い。

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途中の踊り場。ここで半分の深さだ。

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東側階段の入口。

岡山駅南地下道はなぜこんなに深いのか。それは、水路の下をくぐる必要があったからだ。地下道の南端の頭上を、能登川用水という用水路が直交方向に流れている。

当該部分の能登川用水は暗渠になっている。だから水路の下をくぐっていることに気づく人は少ないかもしれない。


南北の赤ラインが岡山駅南地下道。東西の青ラインが能登川用水の暗渠。

マップを見ると分かるように、能登川用水は西川用水(通称:西川)から分岐している。西川用水は、岡山市街中心部を流れるかつての灌漑用水だ。江戸時代にはすでに存在しており、岡山城西部・南部の農村地帯を潤してきた。現在は「西川緑道公園」として整備されている。

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西川。正面に見えているのが能登川用水の樋門だ。

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ここから取り込まれた能登川用水が、道路の下を流れている。

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正面方向に、足元を能登川用水が流れている。

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西へ向かうと、途中で道路の真ん中にグレーチングが現れる。暗渠がある証拠だ。

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左にイオンモールと岡山駅南地下道の入口が見える。

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岡山駅南地下道の入口のそばから反対方向(東)を見たところ。この足元あたりで、地下道と水路が立体交差している。

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再び地下道南端。この頭上あたりを能登川用水が流れている。

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イオンモールの西側で能登川用水が顔を出す。ここから開渠になる。

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岡山市には用水路が網の目のように張り巡らされており、総延長は約4000kmにも及ぶ。それらは当然のことながら、近年になって急にできたものではない。田畑に水をひくため、つまり生きていくために、長い年月をかけて人々がつくってきたものだ。

このようななんでもない傾斜にも、都市の歴史が宿っている。

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この写真はイオンモール岡山ができる前の岡山駅南地下道。見えにくいが、当時はまだ突き当たりが壁になっている。

以下、余談。

イオンモール岡山がある場所は、以前はバイオ企業「林原」の所有地だった。ここには林原の社屋と、同社が経営する有料駐車場「林原モータープール」があった。その土地をイオングループが買い取ったというわけだ。

ネット上には「岡山駅南地下道は、ハヤシバラシティ構想に連動してつくられた」とする記述が見られるが、これは根も葉もない作り話である。

ハヤシバラシティ構想というのは、林原が2002年に発表した自社所有地の再開発計画で、総事業費1500億円をかけてホテル、百貨店、博物館などが並ぶ街区をつくるというものだった。しかしこの計画は具体的な進展を見ないまま頓挫する(林原は2011年に経営破綻した)。

岡山駅南地下道はイオンモール岡山のオープン(2014年)のはるか前からあるので、「ハヤシバラシティ構想に連動してつくられたのだ」と思い込む人が「事後的に」生まれたのだろう。

ハヤシバラシティ構想と岡山駅南地下道を関連づける話は、デマである。なぜならハヤシバラシティ構想が発表された2002年には、岡山駅南地下道はすでに開通しているからだ(1999年竣工)。

そもそも、いち民間企業の「構想」のために、行政が先まわりして地下道を建設したりするはずがない。

【参考文献】
・小野芳朗・竹内晋平「水路都市岡山の近世一西川用水前史」(土木史研究論文集Vol.28、2009年)
・岡山市|こんなにあります農業用施設

【あわせて読みたい】
ある樋門の謎(不在の銘板)




posted by pictist at 04:16| 都市鑑賞