シュロが気になり始めて10年以上経つんですが、最近はシュロの絵まで調べるようになってしまってます。江戸時代に描かれたシュロをいくつかご紹介しましょう。
『本草図譜』(文政11年/1828年、岩崎灌園)のシュロ。日本で最初の本格的な植物図鑑で、約2000種の植物が紹介されています。
国立国会図書館デジタルコレクションより画像ダウンロード・加工
毛のうねりがすごくいい。花と種を分かりやすく描いてるところが偉い。

皮を剥いだ幹を別立てで描いてるところが偉い。

トウジュロも載せてて偉い。これ私が画像をトリミングしてるんじゃないですよ。見開き2ページをそのままくっつけただけ。葉の切り方がすごいですよね。そこまで枠外へ出すかっていう。
次は
『梅園草木花譜』(毛利梅園)
毛利梅園は寛政10年(1798年)生まれの旗本。
国立国会図書館デジタルコレクションより画像ダウンロード・加工
葉先が折れてるのでワジュロでしょうね。こちらも「はみ出し力」がすごい。

少し拡大。『夫木集』という鎌倉時代の和歌集から和歌が引用されています。
あさまだき梢ばかりにおとたてて棕櫚の葉すぐるむら時雨かな※村時雨=ひとしきり激しく降ってはやみ、やんでは降る雨。晩秋から初冬にかけて降る時雨。「まだ明けきらない冬の朝。梢が音をたてている。棕櫚の葉を打ちながら村時雨が通り過ぎていくのだなあ」という感じでしょうか。
こちらは伊藤若冲の拓版画
『玄圃瑤華(げんぽようか)』(明和5年/1768年)より、棕櫚の図。
東京国立博物館「研究情報アーカイブズ」より画像ダウンロード
かっこいい。手ぬぐいにしたい。若冲ってこんなのも描いてたんだ、という驚きもあります。『玄圃瑤華』は他の絵もすばらしいのでぜひリンク先から見てみてください。どれも植物と虫の組み合わせになってます。
ちょっと謎なのが、葉柄にトゲらしきものがある点。これはチャボトウジュロの特徴なんですが、でもこの葉はトウジュロの葉なんですよね。うーむ。
他にいい感じのシュロの絵をご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください。
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posted by pictist at 01:05|
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