
終了してだいぶ経ちましたが、振り返りの記録です。
岡山芸術交流2019の関連プロジェクトとして「みんなで見つける おかやま街角鑑賞」というイベントを企画しました。2016年に作成した「岡山芸術交流オルタナティブマップ」を発展させ、次のステップとして考案したものです。
私たちオルタナティブマップの制作者が選んだ鑑賞スポットを見て楽しんでいただけるのはとてもうれしいのですが、それで終わりにするのではなく、今度は地域のみなさんにも参加(発見)してもらおうと考えました。そこで、みなさんに「私の鑑賞作品」を投稿してもらうことにしたのです。

2016年に制作した「岡山芸術交流オルタナティブマップ」で私が一番伝えたかったことは「街にあるものを『作品』として鑑賞してみると面白いよ」ということでした。オルタナティブマップに掲載した鑑賞スポットは、あくまでも制作した3人の目線(価値観)で切り取ったもの。もっとたくさんの目線が集まれば、より豊かな鑑賞につながるだろうと思うのです。

10月・11月に、奉還町のKAMPさんと岡ビル市場でトークイベント&街歩きを開催。みなさんが投稿してくださった写真を見るのはとても楽しかったです。その場で30分間だけ会場周辺を撮り歩くという限定された条件ではありましたが、それでもこちらがハッとする写真をたくさん見ることができました(2回とも参加してくださった方も何人かいてうれしかったです)。

「街を見る=自分にとっての鑑賞価値を見つける」ことが多くの人にとって当たり前になっていけばいいなと思っています。誰かに「これは見る価値がありますよ」と言われたから見るのではなく、自分で見る価値を決めること。そこには正解も不正解もありません。「私にとってグッとくるもの」を見つけるのって、単純に楽しいんですよね。自分の見つけたものが他の誰かに伝わったら、もっと楽しい。逆に「他人の価値観にハッとする」のも楽しい。

イベントでは、私が撮り集めた街角写真を例として紹介しました。参加者の方にとっては「当日、その場で見つけて投稿しなければならない」という条件があったため、参加しやすいように、意識的にビジュアル系のネタ(看板や壁など)を中心に紹介しました。
でも本当は、表面的な「見た目」だけで選ばなくてもいいんです。例えば商店。何十年も営業しているお店が岡山にはたくさんありますよね。「見た目」ではなんの変哲もないお店だったとしても、歴史を知ると「これは街の財産だね」ということになる。「じゃあこのお店の包み紙のデザインを鑑賞作品として切り取ろう」と思ったり。これはほんの一例ですが、そういうふうに時間をかけて街とコミットしていけば、価値を見つけ、鑑賞スポットとして切り取ることができるはずです。
そうしたアクションが特別なものではなく、みんなにとって当たり前になっていけばいいなあ、といつも思っています。そうなれば、「みんなで見つける」を超えて、今度は「みんなでつくる」おかやま街角鑑賞につながっていくのではないでしょうか。

今回のイベントでは2回とも私がレクチャーしましたが、例えば都市鑑賞系の作家さんをゲストにお招きして、「ソトの眼」を借りつつ一緒に街歩き&イベントができたら、より有意義な時間をお客さんに提供できるのになあ……と思ったりしてました。しかし限られた条件の中でなかなかすべてを実現することはできず。またいつかそのような企画ができることを願っています。
参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
岡山芸術交流オルタナティブマップ
posted by pictist at 02:03|
都市鑑賞