半田山植物園(岡山市北区法界院)は、その名の通り半田山(はんだやま)という丘陵地にあり、斜面を利用してつくられています。開園は1964年(昭和39年)ですが、この場所はそれ以前から配水地として利用されていました。近くの三野浄水場からここまでポンプで水を送り、勾配による自然流下を利用して市内へ配水しているのです。

半田山配水地 1号配水池/1905年(明治38年)通水
明治時代につくられた設備ですが、いまも現役で稼働しています。遺産と呼んでいいのか。このような円形の配水池は類例が少ないそうです。

右:半田山配水地 2号配水池/1905年(明治38年)通水
左:半田山配水地 3号配水池/1919年(大正8年)増設

換気孔には岡山市章が。中央の円は「岡」の字を図案化したものです。

半田山配水地 創建量水室/1905年(明治38年)竣工
六角形の煉瓦造り。なぜ「創建」という言葉が入っているかというと、昭和に入ってもう一棟、量水室がつくられたから。そちらと区別するための呼び名です。

花崗岩を使った入口まわりの意匠。たぶん万成石だと思います。

半田山配水地 増設量水室/昭和14年(1939年)
こちらが後からつくられた増設量水室。創建量水室そっくりですが、鉄筋コンクリート造で化粧煉瓦。飾りもモルタルです。

花崗岩もいいけど、このモルタルの味わいもいいよね。

半田山配水地 旧事務所棟/1905年(明治38年)竣工、木造平屋建



軒飾りが凝っています。

こちらの換気孔にも市章が。意匠を施した風窓じたいが少なくなってきてるので、そういう意味でも貴重ですね。
半田山植物園の入園料は300円。わずか300円で3200種もの植物と、貴重な近代化遺産が鑑賞できるのですよ。登るのにちょっと体力使うけど。おすすめです。
【参考資料】
・『あなたの街の近代化遺産ハンドブック』(岡山県教育委員会、2007年)
・
文化遺産オンライン
posted by pictist at 06:04|
都市鑑賞