
岡山市北区野田屋町に喜多村病院という医院があります。地元の方なら「小便小僧があるところ」と言えばピンとくるかもしれません。大正11年(1922年)に喜多村練三氏がこの場所に開業。90年以上の歴史を持つ医院です。この小便小僧も開業時から立っているもの。
喜多村病院は、岡山で最初に「小児科」を掲げた医院なのだそうです。それで小便小僧があるんですね。小児科のサインとしてつくったのでしょう。現在は小児科ではなくお年寄りの入院介護・治療が主になっているようです。
建物は昭和20年の岡山大空襲で焼けてしまいましたが、小便小僧は難を逃れ、今も玄関先に立ち続けています。また、確認はできなかったのですが、煉瓦造りの台座部分もおそらく空襲を免れたものなのではないでしょうか。
戦後に建て直したとはいえ、すでに築70年以上経つレトロ病棟。貴重です。中を見てみたいなーと思っていたところ、このたび喜多村病院さんのご厚意で院内を見学させていただくことができました。

左側に少し見えているのが新館。小便小僧のあるほうが旧館。現役です。

受付前のガラス窓には手書き文字が。職人技です。

処置室

検査室

階段を登ると……

1階と2階の間の踊り場が休憩場所になってるんです。佇まいがかわいい。

踊り場

真鍮の手すりがいい感じの経年光沢を帯びています(今つくった造語です。経年光沢)。

暗室。昔はここでレントゲン写真を現像してたんですね。

暗室の入口。小窓がついてます。

ここは2階。右下に見えているのが先ほどの暗室。そしてこの階段の上にあるのはトイレなのです。半階上がるようになっているという。ちょっと珍しい構造ですよね。1階にあるトイレは逆に、地下へ半階下がる構造でつくられていました。

清浄室=W.C

號。院内のいたるところに旧字が残っています。

木窓もだんだん少なくなってますね。

配管をむき出していくスタイル。

喜多村病院さん、見学のお願いを快く受けてくださり、どうもありがとうございました。
考えたらあと3年ほどで開業100周年ですね。つまり小便小僧も100歳になるわけです。小僧なのに100歳。100歳なのに小僧。お祝いしましょう、2022年に。