
この本は「間取り図ナイト」というシリーズイベントの内容をもとに構成されています。「間取り図ナイト」は森岡友樹、大山顕、大塚幸代の3者によるスライドトークショー。全国ツアーまで開催されるほどの人気イベントです。
僕は間取り図にはそれほど興味がないんだけど、森岡さん、大山さんと友人なので、このイベントをずっと見守ってきました。一度ゲスト出演させてもらったこともあります。
で、ここが重要なんですが。間取り図に興味のない僕がこのイベントを見て面白いのか?というと、すっごく面白い。何度も噴き出してしまう。友人がやってるからとかじゃなく。これはやっぱり、間取り図のチョイスと、つっこみの角度がうまいからだと思います。それと3人のかけあいが絶妙だから。
そんな間取り図ナイトを書籍化したのがこの本なわけですが、トークの面白みをうまーく紙に落とし込んであって、最後まで楽しく読めました。書籍化にあたっておそらくいろんなアプローチを考えただろうけど、この構成は正解だったと思います。
僕みたいに「間取り図にはべつに興味ないなー」という人にも読んでもらいたい。これ読んで一回も噴かない人はいないんじゃないかな。




あとね、もう一つ言っておきたいことがありまして。それは森岡さんの中にある「笑うことだけが間取り図の楽しみ方じゃないよ」という思い。今までに何度か、雑談中にそういう話を聞きました。森岡さんは本のタイトル通り「間取り図大好き!」な人で、べつにつっこみ目的で間取り図を収集してるわけじゃないんですね。もともとは。
ただイベントをやったり、今回のように書籍化したりすると、やっぱりエンターテイメントを軸にせざるをえない。でも森岡さんは「面白くない間取り図なんてない」って言ってるんです。べつにおかしな物件じゃなくても、どんな間取り図でもじっくり見てると面白いんだよ、と。
エンターテイメントを通して、その向こう側にある間取り図そのものの魅力を伝えていきたいと森岡さんは思ってるはず。そんな思いの片鱗が、本書にも現れてます。148ページのコラム「いい物件探しのための、新しい間取り図の見方」なんかはストレートにそういう考えが出てるし、71ページの「窓がかっこいい」や、171ページの「何も間違ってないけどじわじわくる」間取り図なんかは、森岡さんから読者への無言のメッセージだと思いました。(無言じゃないけど)

この本は笑って読める本です。でも、間取り図は笑えるかどうかじゃないんだよ、その向こう側へおいでよ、と森岡さんは手招きしている。今のところ僕はそこへ行くつもりはないけど、ぜひみなさん、お先にどうぞ。「向こう側」にいる人たち、すごく楽しそうだよ。
『間取り図大好き!』
間取り図ナイト編
出版社:扶桑社
発売日: 2013/1/30
ページ数:193p
ISBN:9784594067694
http://www.amazon.co.jp/dp/4594067697
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*大山さんのブログでも紹介されてます。
「住宅都市整理公団」別棟
http://blog.livedoor.jp/sohsai/archives/51946903.html